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「元・宝塚総支配人が語る「タカラズカ」の経営戦略」森下 信雄

2016/02/23公開 更新
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元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (oneテーマ21)


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

宝塚歌劇団の前身は、宝塚新温泉のアトラクションとして、1913年に生まれた宝塚唱歌隊です。宝塚唱歌隊は阪急電鉄鉄道事業の旅客誘致策として始まり、その赤字は広告宣伝費で補てんされてきました。現在は、量的拡大、質的拡充を図り黒字化しています。


量的拡大、質的拡充の中身は、「5組化(宙組新設1998年)による 自主制作・主催興行の量的拡大策」、「東京宝塚劇場建て替えに伴う通年主催興行化(東宝株式会社からの東京における興行主催権の獲得2001年)による自主制作・主催興行の質的拡充策」、「全国ツアー等、地方興行の充実・・実質的ロングラン公演化」などです。


・バブル期に全国各地に乱立した「公共ホール」の存在を活かした興行の「実質ロングラン化」(p47)


この本の面白いところは、宝塚歌劇の仕組みがわかるところでしょう。序列があること。チーム間の移籍があること。劇場と地方興行の組み合わせであること。こうした仕組みはAKB48と類似性があるとしています。


具体的には、宝塚歌劇はトップスターを頂点とする「スター・システム」であり、作品の配役はその序列に沿って割り当てられるという。AKBのように入団から最終目標たるトップスターの地位までのステップが決まっているのです。


100年以上もの歴史があり、経営的にも利益を出していることは素晴らしいと思いました。儲けるだけなら、AKBのように総選挙でもやってみるといいかもしれませんね。森下さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・AKB48のビジネス・・「シロウトの神格化」をコンセプトとして・・「チーム制」を敷いて地方・海外展開を積極化していること、チーム間の「移籍」(宝塚歌劇では「組替え」)により定期的に「不均衡状態」をビジネスに組み込んでいる(p164)


・宝塚大劇場公演の稽古は約40日、この短い期間で通常は前物(芝居)と後物(ショー)の2本の作品を完成させます(p51)


・宝塚歌劇団に「雇用」されている「団員」である 作家・演出家がほぼすべての宝塚歌劇作品を作っている・・ 外部の演出家が宝塚歌劇の演出をすることは ほとんど例がありません(p103)


・DVD、CD,衛星(CS)放送、カード・携帯ストラップ・小物類といったグッズ類の企画・制作・販売が、エンターテイメント事業にとって大きな収益源(p119)


元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (oneテーマ21)
森下 信雄
KADOKAWA/角川書店
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【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1章 「タカラヅカ」の基礎知識
第2章 宝塚歌劇のビジネスモデル
第3章 宝塚歌劇ビジネスの特徴
第4章 宝塚歌劇とAKB48
第5章 タカラヅカのこれからと業界の未来



著者経歴

森下信雄(もりした のぶお)・・・1963年、岡山県高梁市生まれ。86年、香川大学卒業後、阪急電鉄株式会社入社。鉄道現場(駅務員、車掌、運転士)、梅田茶屋町再開発計画担当、阪急西宮スタジアム(阪急西宮救場)副支配人を経て、98年、宝塚歌劇団に出向。歌劇団にて制作課長、星組プロデューサー、次いで株式会社宝塚舞台にて劇場部長、2004年に阪急電鉄へ復職し、歌劇事業部事業推進課長、宝塚総支配人と宝塚歌劇事業全般を経験する。08年に株式会社梅田芸術劇場に出向、常務取締役として社業全般を統括。11年、阪急電鉄を退職。現在は大阪で人材紹介コンサルタントとして活動


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