【書評】「プロコーチのエンパワーメントコミュニケーションの技術」岸 英光
2014/04/17公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(78点)
要約と感想レビュー
相手の言うことを受け取る
プロコーチの心理テクニック集です。前半は、相手の気持ちを受け取る手法。後半は一歩進んで、「できない」を「できる」に変換させる技術です。まず、基本として、コミュニケーション技術としては、相手をそのまま受け取るということを学びましょう。
ただ相手の言うことを受け取っていると、本音が言えるようになってくるという。著者の場合は、相手に対して、「私はあなたにきついことを言うかもしれない。あなたも、きついと思うことでも私に言ってほしい。」と伝えるのだという。きついことを言い合っても、それはお互いの成長のためであり、その結果、関係を壊すことは絶対にしないと約束するのです。
例えば、「先生、ぼくはもう死にたいんです」という少年に対して、長い間を取ると、少年は「何もしたくないんです」と言ったとしましょう。「ふうん。そうなんだ」というやり取りが、相手の言うことを受け取るということだという。(カール・ロジャース氏)
コミュニケーションでは、「ただ受け取ること」が非常に大きな意味をもっています。ただ受け取ってあげることで、だんだんと人は本音が言えるようになるのです(p90)
言葉の背景のを聴く
人は話していても、本当のことを話していない場合があります。例えば、部下が遅刻して怒っている上司は、本当は部下が遅刻することで自分の評価が下がるのを恐れているのかもしれない。夜遅く帰ってきた子どもを起こる親は、子どものことが心配なのかもしれないのです。
話す側のレベルが高くない場合は、それを指摘しても反発するだけですから、やはり話を受け取ってあげる必要があります。一度、受け取ってあげて、「心配してくれてありがとう」とでも言ってあげればいいのです。
また、「ブランドのバッグが欲しい」と言う女性がいたとします。この女性が欲しいのは、本当にブランドのバッグなのか、それともブランドのバッグをもってワクワクしている自分が欲しいのかという視点も大切です。
言葉の背景の「あり方」を聴く・・・たとえば部下が、「こんなことはできません」と言ったとき、本当にできそうもないからそう言っているのか、反抗したいために言っているのか・・(p128)
言葉の背景のを聴く
後半の「できない」を「できる」にする技術は、自分の枠を取り払う技術です。いかに今の自分の安心できる範囲を拡大していくのか。それは仕組みであり、論理的な手法なのです。心の枠をはずすのは難しいのですが、そうした枠があることを知るだけで、枠を超える一歩になるのだと感じました。
例えば、大勢の前で話すときに、「本当は、私の話など聞きたくないのではないか?」と不安になる人は、「実際のところはわからないのだ」と、考えることを推奨しています。さらに、聞き手に「私の話がつまらないかどうか」聞いてみるのもよいでしょう。
私達は、フィードバックを受けても反省する必要はないのです。「反省は役に立たない」のです。必要なのは反省することではなく、何が機能し、何が機能しなかったのかを知り、機能したことを継続し、機能しなかったことをやめることなのです。
岸さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・腹を立てて怒鳴り散らすのは感情の表現ですが、「俺は今、腹が立っている。このことを、本当にお前にわかってほしいんだ」という場合は自己表現です(p56)
・「部長は笑われるかもしれませんが~」「変に思うかもしれないけど~」「こんなことを言うと、君は傷つくかもしれないけど~」と言えば、相手の傷つき方はずいぶん少なくなります(p88)
・「なぜやらないんだ?」・・・あなたが上司であったり、子どもの親であったりする場合、「なぜ?」でなく、「何があったんだ?」と訊かなければなりません(p144)
・はじめてのことをやる場合には、まず「できない」のを前提にやってみることです。転ぶのは当たり前だと思って転ぶ瞬間の感覚を味わい、バランス感覚を学んでいきます(p207)
あさ出版
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
目次
第1章 コミュニケーションとは自分と相手を触発するも
第2章 コミュニケーション・パワーが多くのことを可能にする
第3章 必ず結果を生み出すコミュニケーションの技術
第4章 相手のことを理解するための一歩進んだ「聴く技術」
第5章 「できない」を「する」に変えるコミュニケーション
著者経歴
岸英光(きし ひでみつ)・・・東京都出身。岸事務所代表。コミュニケーショントレーニングネットワーク統括責任者。1985年より帝人株式会社にてマーケティング 企画・技術開発・営業・システムなどを手がける。その後、独立して、人間関係や能力開発に関する様々な分野のセミナー・講演・研修・執筆等を展開。数多くの企業で顧問(コーチ)として活動すると同時に、学校現場での講演、一般参加者対象の連続講座など、精力的に活躍中(全国で年300回以上)。「コーチング」、「パラダイムシフト」の第一人者。
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