「工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行」今野 浩
2013/07/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
電力中央研究所からスタンフォード大学留学し、筑波大学助教授から東京工業大学教授という著者が明かす、アメリカの大学事情です。アメリカは、ぬるま湯日本と違って、アップ・オア・アウト。業績を残した人は、一流大学の教授として受け入れられ、業績を残さない人はクビになるのです。
アメリカではノーベル賞級の研究者を招いて業績を出すのが命なのです。それに対し、日本の大学は会議で明け暮れている。世界的な研究者に雑務をやらせるのはばかげているというのがアメリカ思考なのです。著者の聞いたところでは、アメリカでは10人の教授が集まって"会議"を行うのは、週1回ランチ・タイムだけだというのです。
・アメリカのB級大学はB級の人達の集まりだから、そこで暮らして得るものはあまりない・・・一方日本の場合、B級大学の教員の中にもA級の人が混じっている。(p161)
この本で最も価値があるのは、論文を書くコツでしょう。アメリカでは助教授になったら、3年間に5~6編の論文を書かないとクビになってしまいます。では、どうするかといえば、新しい分野を開拓すること。そこには新しい論文の種が残っている可能性が高いからです。そして、量を確保するために、学生と共著論文を書くのです。
つまり、新しい分野に参入してブルーオーシャンを攻めること。すべて自分だけでやろうとせずに、学生や同僚を巻き込むこと。そして大事なことは、新しい分野に参入するときは、できる限りそれまでに築いた人間関係をそこわないようにすることが大事だとうのです。
アメリカの大学は合理的のようです。日本のようにあまり会議もないようです。大学には、企業とはまた違った世界があるのだと感じました。今野さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・アメリカで違うのは秘書だよね。IE学科の秘書は5人だけど、1人は学科主任専属で、それを除くと1人で4人分の教員の秘書業務をこなしている・・(p131)
・ハーバード大学は、2兆円・・・イェールは3兆円、プリンストンは2兆円、そして後発のスタンフォードも1兆円を上廻る自己資金を持っていた。(p179)
・フォーマル・パーティーは、概ねウィークエンドの6時頃に始まり、9時には終わる。カレン婦人から教わったパーティー心得は、定刻前には扉を叩いてはいけないこと、あまり遅くまで居残ってはいけないこと、の2つである(p106)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
はしがき
1 ヒラノ青年とアメリカ
2 モントリオールの屈辱
3 ビッグ・バッド・ウォルフ
4 パデュー大学
5 決闘
6 ビジネス・スクールのカルチャー
7 経歴詐称
8 ポポロ先生
9 アメリカ式パーティー
10 アンディの秘密
11 KKK
12 ロナルド・リーガン
13 血まみれのスタンフォード
14 さらばアメリカ
15 アメリカの呪縛
16 レーガンのアメリカ
17 エピローグ
あとがき
著者経歴
今野浩(こんの ひろし)・・・1940年生まれ。東京大学工学部応用物理学科卒業、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科博士課程修了。Ph.D.、工学博士。筑波大学助教授、東京工業大学教授、中央大学教授等を経て、東京工業大学名誉教授
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