「〈自己発見〉の心理学」国分 康孝
2011/12/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
論理的に幸せになろう、という一冊です。心理学は学問ですから、心の悩みも理論的に解決します。もしあなたが落ち込んでいるのであれば、原因があるはずです。その原因は自分の考え、思い込みにあるはずです。その思い込みは、本当に正しいことなのでしょうか。
例えば、留年することになり落ち込んでいたとしましょう。あなたは「大学は四年で卒業すべきである」という思い込みによって悩んでいるのです。もし、「留年すれば友だちがふえる」と考えれは、留年はそれほど落ち込むことなのでしょうか。
同じように、自分のミスで失敗したとしましょう。たしかに自分の落ち度で、自分が馬鹿だったと判断せざるを得ないこともあるでしょう。それでも著者は、自分はだめ人間である、と考えない方がよいとアドバイスするのです。なぜなら、自分はだめだったといくら自分を責めたところで、それほど自分が良い方向に変わるわけではないからです。
つまり悩むにしても、自分のためになるなら悩むことも必要です。でも、その悩みが自分のためにならないなら、悩んでも意味はありません。あくまでも自分のためになるのか、ならないのか。もし自分のためにならないのなら、逃げてもいいのです。
・ではすべてのフラストレーションは自分のためになるか。そうとは言いきれない。どう考えても意味が見出せないときはその状況から脱出する工夫をするとよい(p55)
国分さんは、考え方で人は幸せになれる。悩みから脱出できるとしています。逆に言えば、落ち込んでいる人は、外部からの刺激に対して考え方がまずいということです。考え方ひとつで変わるのですから、人間は素晴らしくもあり、残念な存在でもあるのです。
そんな残念な人間がいたとして、その人が自分の思いどおりに動いてくれないとイライラしている人にも著者はアドバイスしています。それは、「直そうとするな、わかろうとせよ」ということです。つまり、人はそれぞれ違うのであり、自分の好みを人に押しつけないことが大事ということです。その上で、他人の人生に関心を持ってあげる、理解してあげるということなのです。
考え方しだいなのですから、ちょっと悩んでいる人に考えるヒントになる一冊だと思いました。国分さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・上手ないばり方(役割の維持と主張)とは相手に不快感を与えない役割主張・・・提唱するいばり方は、「私は~と思います」式(p184)
・愛という感情がいくらあっても愛を伝える技術が下手なら、子どもは親に愛してもらったとは思わない(p83)
・幼少期の教育は概して禁止・命令・指示・教示を多くし、ヤング・アダルト以降はこれを除々に減少させ、自由裁量を多くするのがよいのではないか。(p95)
・心ならずも「ハイ」と快諾して、あとで後悔する人は、とにかくその場では即答しないという原則を守るとよい。(p45)
▼引用は下記の書籍からです。
講談社
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【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 人生哲学
第2章 社会生活におけるビリーフ
第3章 学習生活におけるビリーフ
第4章 家庭生活におけるビリーフ
第5章 職業生活におけるビリーフ
著者経歴
國分 康孝(こくぶ やすたか)・・・1930年生まれ。哲学博士。フルブライト交換研究教授、東京理科大学教授、筑波大学教授を経て、現在、日本カウンセリング学会理事長、東京成徳大学教授。
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