「同行二人 松下幸之助と歩む旅」北 康利
2009/11/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
松下幸之助の人生をたどる一冊です。細かいエピソードを淡々と記録していますが、よく調べたな、というのが私の感想です。私が感心したのは、松下幸之助の叱り方をよく集めて、描写しているところです。
例えば、松下電器の業績不振から会長であった松下幸之助が営業本部長代理として復帰し、経営改革について代理店へ説明するために開催した熱海会談では、出席者が胸につけるリボンを見て激怒したという。なんと松下電器の役員のリボンが代理店のリボンよりも一回り大きかったのです。「いったい誰が松下の製品を売ってくれると思ってるのや!」と松下幸之助は叱責したというのです。
その叱り方は、いかに物事の本質に対して厳しい思いが伝わるものであり、部下も緊張感を強いられながら、ある意味感動してたのではないかと推察されるのです。
特に幹部従業員に対しては、「今日の売り上げはいくらになった?」などと業務について質問し、もし聞かれて資料を見て答えようとするものなら、「責任者なのに、そんな数字も把握していないのか!」とカミナリが落ちるのです。電話で幹部に問い合わせるときには、手元に資料を見ながら、あたかも知らないかのように質問していたときもあったというのです。
この本の最後には、松下幸之助の「道」という詩で締めくくられています。これだけで著者が詳細に調べ、松下幸之助を理解していたということがわかるというものです。幸之助の人生の資料として使える一冊だと思いますので、本の評価は★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・今日ここに松下産業労働組合が結成されたことは慶賀にたえません・・・みなさんの要求は、正しいことならすべて聞こう。そやけど無理な要求は聞くわけにはいかん(p218)
・彼は現代のビジネスマンのようにゴルフをするのを嫌い、「ゴルフは企業を亡ぼし、国を亡ぼす」と語った(p313)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
松の下の家に生まれて
紀ノ川の別れ
電気との出会い
無謀な賭け
自転車ランプ
住友銀行との出会い
思考の人
水道哲学と創業命知元年
経営のコツここなりと気づいた価値は百万両
戦時下の松下電器
苦難の日々
熱海会談
中内功との戦い
ライバル・ソニー
石田退三
経営する哲学者
国家に経営理念を求めて
著者経歴
北 康利(きた やすとし)・・・1960年12月24日名古屋市生まれ、東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末でみずほ証券退職。本格的に作家活動に入る。現在、PHP総合研究所「次代を考える東京座会」メンバー、中央大学専門職大学院国際会計研究科客員教授。
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