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「福沢 諭吉 国を支えて国を頼らず」北 康利

2008/01/17公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 慶応義塾の創設者、『学問のすゝめ』の著者、一万円札の肖像となっている福沢諭吉の生涯を記した一冊です。福沢諭吉の功績は、学問の必要性を広め、自主独立の精神を広めたこと、そして西洋の知識を日本に紹介し、脱亜入欧をぶったことでしょう。


 福沢諭吉は、緒方洪庵の適塾において頭角を表わし、25歳で幕府全権団の随行としてアメリカを視察しています。ここで、アメリカの豊かさ、自由・平等を標榜するアメリカ市民社会に大きく影響を受けたようです。


・(1959年)当時の日本では鉄は貴重品。火事の後には、焼け残った釘を拾いに多くの人が集まったほどだったが、ここサンフランシスコでは無造作に捨てられている。アメリカの豊かさの前に息を飲んだ。(p77)


 そして、『西洋事情』と『学問のすゝめ』を発刊。『学問のすゝめ』は、17編の小冊子であり、300万部以上の人の読まれたと言われています。当時の日本の人口が3000万人程ですから、人口の10%が読んでいるので、今なら1000万部というくらいの大ヒットだったのです。


 そして、慶応義塾では「欧米の学問と自主独立の精神」を掲げ、若者の教育を図りました。ここで「学問」と言っているのは、実生活に役立つ知識のことであり、これを「実学」と表現していたのです。


・明治五年(1872年)二月、『学問のすゝめ』初編が発刊された。<賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによりて出来るものなり>・・・<この人民ありてこの政府あり>という言葉などは実に辛辣な警句である。(p159)


 <この人民ありてこの政府あり>など、今の日本人にたいして福沢諭吉が怒っているような錯覚に陥りました。学ぶことの必要性と自主独立の精神は、その重要性は今も変わりません。★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・諭吉がその金を書籍購入に充てた。マンデビルの英文法書を二百余冊、ウェブスター大辞書42冊、クアッケンボス窮理書(現在の物理書)76冊、地図帳33冊等々、買った大きい箱で10箱近くに達した(p113)


・(大隈重信には)その人柄を慕って人が集まった。早朝五時には起床、庭を一、二時間かけて散歩し、夜は九時には就寝するという規則的な生活を守り、「人間125歳寿命説」を主張するほど頑健であった(p208)


・イギリスが朝鮮の巨文島を占領したり、ロシアが朝鮮宮廷内の親露派と示し合わせて陸路朝鮮へ侵入を企てたりしているにもかかわらず、朝鮮政府の対応が弱腰なことに愛想を尽かし・・・<人民の生命も財産も独立国民の誇りも守ってやれないような国は、むしろ亡びてしまうほうが人民のためだ>とまで書いたため即座に発行停止を食らった(p312)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

序章 聖徳太子を継ぐ者
第1章 門閥制度は親の敵でござる
第2章 「自由」との出会い
第3章 「私」の中の「公」
第4章 『学問のすゝめ』
第5章 ベンチャー起業家として
第6章 かくて「独立自尊」の旗は翻った
終章 我々へ託された志



著者経歴

 北 康利・・・1960年生まれ。大学卒業後、銀行系証券会社勤務。PHP研究所「次代を考える東京座会」メンバー。著書多数。


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