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「「よかれ」の思い込みが、会社をダメにする―飛躍的成長を実現する全体最適のマネジメント"」岸良 裕司

2009/11/25公開 更新
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「よかれ」の思い込みが、会社をダメにする―飛躍的成長を実現する全体最適のマネジメント


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 会社に入って、先輩から助言されたのは、「全体最適を考えろ」ということです。「全体最適」と言われても、ではどうすればいいのかしら、と思う方が多いのではないでしょうか。この本では、店舗、倉庫、生産現場を例として、全体最適の考えています。


 まず、店舗で考えるべきことは、欠品をなくすこと、そして在庫を減らすことです。これらは相反することですが、もし、発注から配送までの期間を短くできれば、短期間で補充されることになり、欠品を少なくすることが可能となります。そのためには、毎月発注よりは毎週発注、毎週発注よりは毎日発注にすれば良いということになります。


・店頭の発注を1日売れた分だけ補充するようにすると、どうなるだろうか?・・・数日分の在庫があれば、十分すぎるほど(p55)


 次に、倉庫にある程度の在庫があれば、発注から配送までの輸送時間は数時間となり、欠品の時間はもっと少なくなるでしょう。通常の商品の生産現場では、限りない改善をして在庫を持たないようにしていますが、小売店からしてみれば、ある程度在庫を持ってもらったほうがありがたいということです。このように、この本では在庫の持ち方、発注方法、購入方法などについて、全体最適の視点で教えてくれるわけです。


・生産現場では数分間、数秒、いやコンマ数秒という単位でリードタイムを短縮している一方で、市場には数か月分の在庫がある。(p62)


 この本が本当に教えたかったのは、こうした手法ではなく、こうした手法に至った全体最適の思考法なのだと思いました。業界によって状況は変わりますから、全体最適の答えは、常に微妙に変化するのです。


 そこを私たちは自分で考えなくてはならないし、そこに仕事の面白みがあるのかもしれません。非常に示唆に富んだ一冊でしたので、本の評価としては★4つとしました。


この本で私が共感した名言

・ダイナミック・バッファマネジメント・・・毎日の売れ行きを見て、在庫の目標量が調整され、それに合わせて売れた分だけ補充する。(p68)


・「よかれ」と思って持っている安全余裕。これが落とし穴になる。(p118)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 「コストダウンすれば、利益が増える」という思い込み
第2章 「現場を効率化すれば儲かる」という思い込み
第3章 「お客様はコストダウンを求めている」という思い込み
第4章 全体最適へのパラダイムシフト



著者経歴

 岸良裕司(きしら ゆうじ)・・・1959年生まれ。ゴールドラットジャパンCEO。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraint:制約理論)をあらゆる産業界、行政改革で実践。活動成果の1つとして発表された「三方良しの公共事業改革」は、ゴールドラット博士の絶賛を浴び、2007年4月に国策として正式に採用された。成果の数々は国際的に高い評価を得て、活動の舞台を日本のみならず世界中に広げている。2008年4月、ゴールドラット博士に請われてゴールドラット・コンサルティング(現ゴールドラット)ディレクターに就任し、日本代表となる。東京大学MMRC(ものづくり経営研究センター)非常勤講師。


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