「会社は毎日つぶれている」西村 英俊
2009/04/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
■日商岩井とニチメンが合併した双日の社長に就任し、
リストラを敢行した西村 英俊さんの一冊です。
当時、日商岩井は膨大な不良債権を持ち、
株価も低迷していました。
実質、破綻していたようです。
■日商岩井の不良債権の処理をするなか、
西村社長が気づいたのは、
社長が会社を潰すということです。
つまり、海外の不良債権のほとんどは、
社長が方針として掲げた「海外一流企業との連携」を
達成するために契約されたものだったからです。
しかし、実際には、自社に実力が伴わないため、
不利な条件で提携したケースが多く、
そうした契約が、時間とともに不良債権化していったのです。
・不良債権・・・社長の一斉号令で「今や海外との連携の時代だ。
各国の一流企業との連携を深めよ」ときたもんですから、
無理やり背伸びをしてやってしまったというのが経緯です。(p166)
■そうした不良債権も、早期に発見し、
処理していけば、傷は浅く済みます。
しかし、実際には
担当者は失敗を報告したくありませんので、
投資失敗の情報は社長までなかなか届かないのです。
・投資事業開始にあたって検討を重ねるいわゆる
「入口審査」はしばしば全社を挙げて厳格に実施する・・・
入口審査の重さがかえって事業運営開始後の管理を甘くし、
本当のリスクを招くというのは困ったことです(p78)
■社長になると悪い情報は入りません。
そうした中で、
部下からの「問題ありません」という報告の中に、
問題を発見する力が社長には求められているのでしょう。
・事故や失敗に関する情報の中で「大丈夫」という報告ほど
信じてはいけない情報はないのです。・・・あなたが「大丈夫」と
思ったその時から、誰も会社がつぶれるのを止められなくなる(p138)
■西村さんは双日のリストラと不良債権処理を実施して
社長を退きました。
そして、そうした仕事から得たことは、
会社をつぶさないためには
社長の判断が非常に重要であるということです。
(当たり前のようですが・・・)
「問題ありません」という報告の中に、
いかに悪い現状のタネを
見つけるかが勝負なのだと思いました。
社長の苦労が伝わってきましたので、
★4つとします。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・逡巡したりしている時に、「いやまだ社長、今日でなくても」
「社長が出なくても」と言ってきて、気持ちを弱らせるおべっか
軍団の部下たちを全部まとめてやっつけてくれるのが社長、
あなたの高い志に他なりません。(p201)
・会社をつぶすもう一つのリスク、そして社長が自ら
立ち上らなければ断ち切れないリスクに、反社会的勢力との
対決があります。・・・その昔は特殊株主と言ったものです(p210)
・社外取締役の役割の第一は社長の交代時期を提案することと、
交代社長候補の品定めです(p216)
▼引用は、この本からです。
日本経済新聞出版社
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社長たるもの。
良本なのに残念なことです
修羅場で大手商社を再生させた著者のメッセージから経営者は学ぶことはたくさんある
■著者経歴・・・西村 英俊(にしむら ひでとし)
1942年生まれ。65年日商(日商岩井の前身)入社。
取締役、常務を経て、2002年から社長。
2004年に日商岩井とニチメンが経営統合した
双日のCEO就任。05年辞任。
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■関連書評■
a. 「人は仕事で磨かれる」丹羽 宇一郎
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b. 「中国人に会う前に読もう」泉 幸男
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