「中国人に会う前に読もう―第一線商社マンの目・暴動中国の深層」泉 幸男
2005/08/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
●世界各国には日本の大使館がありますが、
私の数少ない経験では、情報収集・分析という点では
商社のほうがはるかに優秀であると感じています。
何しろ商社は優秀な人材を集めて教育し、
現場で実業をしているわけですから、
競争がなく実務をすることのない外務官僚など
相手にならないわけです。
●この本を読んでいて、
中国を見る目からウロコが二つ落ちました。
一つは、なぜ靖國神社問題があるのか。
二つ目は、あれだけ口の悪い中国共産党を
敵に回すとどうなるのか、ということです。
●靖國神社参拝については、
中曽根政権時代に胡耀邦政権との密約により
参拝を中止していた経緯にあり、
今参拝されると現政権が胡耀邦政権より格下ということになるので、
必死に非難しているらしいのです。
もし本当なら、まるで、付き合いをやめようとすると、
オレの面子がつぶされたと
逆切れするその筋の人のようですね。
・胡耀邦政権は、中曽根政権に泣きつきました。
「中曽根さん、あなたが靖國神社を参拝すると、
開明的な胡耀邦政権がつぶされてしまうんです。」
・・・中曽根首相は、中国への内政干渉を決意し、
靖國神社参拝を大見得切って断念してみせることで
胡耀邦政権を支えようとします。(p187)
●このようにコワモテの中国ですが、
敵に回すとどうなるのでしょうか。
よくマスコミでは、
外務省が中国に気を使っているような報道が
よくなされるのですが、商社マンから言わせると、
政治に商売は全く関係ないということです。
・あのね、政治と経済は別です。あの国は。
買いたいものを買うのです。あの国は。
・・・だから、中国ビジネスをやったこともない評論家が、
デカい面して「中国経済関係への悪影響」を
心配したりしないでほしい。(p37)
●では、どうして台湾の李登輝へのビザ発給でグズグスするのか、
中国の毒ガス処理で日本のものではないものまで
処理しなくてはならないのでしょうか。
著者は、それは、日本人特有の「深読み」と
「自粛」によるものと分析します。
●私は中国へ行ったことがないので、
自信をもって評価できないので★4つとしましたが、
この本を読んで、この本に書かれていることのいくつかが
本当であるとすれば、マスコミは一体なにをしているのか?と
疑問を持たざるをえませんでした。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・今回の領海侵犯で、中国はなかなか謝罪しないだろうが、我々日本人は
大陸中国のネチッこい流儀を見習って、一を十と言い、十を百と言う勢い
で、中国政府の対応を非難し続けるべきである。
・日本大使館や日本総領事館を暴徒が襲撃しても、当初これをろくに
取り締まらなかった中国政府。国際社会の面前でこんな明確な国際
法違反を犯してなお、謝罪も補償もしようとしない中国政府の姿こそ
「中国の法制が未整備」であることのまぎれもない証拠である。(p63)
・韓国と日本の政府が、日本による朝鮮統治を糾弾し、
また謝罪するというのであれば、両国政府はその外交の刃をさらに、
中国のチベット統治への糾弾へと向けるべきだ。(p112)
・平成十二年ごろから中国の経済を礼讃しつづけていた日経。
米国の新聞・雑誌を読んでいると、中国経済がかかえる問題点が
過不足なく語られているのに、日経はなぜこんなに幼稚なのか。
そんな思いが膨らむ一方だった。(p120)
文芸企画 (2005/08)
中国の報道を見る前に読もう
明快な中国人論
【私の評価】★★★★☆(83点)
●著者経歴・・・泉 幸男
1959年生まれ。大学卒業後、総合商社に入社。発電プラントの輸出を
担当。1987~1989年中国・北京に駐在。以後、中国、香港、フィリピン、
タイなどで発電プラントの契約交渉・履行にあたっている。
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