「隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?」北野 幸伯
2008/09/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
金と経済が国家を支えている
まず、北野さんは国益とは、金儲けと安全であると定義しています。言い換えれば、経済と外交・軍事です。金と経済が国家を支えているのです。
金儲けについては、グローバル社会では、海外進出ではなく、海外から企業や投資を呼び込む必要があると断言しています。つまり、企業の海外進出を援助・推奨している経済産業省のスタンスは国益に反しているのです。
また、世界の企業を日本に呼び込むためには、大減税が必要であるとしています。借金の多い日本では難しいように感じますが、税率を減らすと逆に税収は増えるというのです。
・グローバルな時代は、国家も人・企業・金の呼び込み競争をしなければ負ける(p54)
中国包囲網の構築
外交の分野では、日本の領土を侵略してくるのは東シナ海への進出を目指している中国だけであると指摘しています。そして中国の日本包囲網は、歴史認識と領土問題でロシア、北朝鮮、韓国、アメリカと連携することなのです。
こうした中国に対応するためには、まず、アメリカ、次にロシア・インドとの協力が必要であり、ロシアを日本に引き寄せて、ロシアと中国を分断することが必要なのです。
一方の中国は「平和ボケ」日本とは違い、国防を切実に考えています。シーレーンと資源輸入を確実にするため、南シナ海と東シナ海を支配するために「尖閣諸島と東シナ海の日本領海を中国が侵略する可能性は高い」のです。
・世界で日本を嫌っている国など、中国、韓国、北朝鮮くらいしかない・・・日本は世界で最も好かれている国の一つであることを確信しています。(p238)
食糧・移民・教育問題
この本では、これら以外にも食料自給率の問題、移民の問題、教育の問題など日本の論点について明確な方針を提示しています。まず、世界の大金持ちと話をしていると、誰もが「これからは農業が儲かる」と言っているという。つまり、食料が不足し高く売れる時代が来るということです。日本の主食である米は自給率100%ですが、日本人は米を食べなくなってきています。今から給食を100%米食にすることで、将来の米の需要を増やすことを提言しています。
また、単純労働者の移民受け入れで日本に起こる問題は、日本人失業者の増加と賃金水準の低下です。そして、移民への差別意識が高まり、移民はマフィア化し、治安は悪化するのです。移民は金持ちか、頭の良い人だけ受け入れることを著者は提言しています。
このようにこの本の特徴は、日本が今、直面している問題を明確に指摘し、その解決方法を提示しているということです。問題はだれでも書くことはできます。しかし、これほどまじめに解決策を示した本はほとんど読んだことがありません。あまりにわかりやすくて、どうしてこれまでこうした本がなかったのか?と疑問に思ってしまうような一冊でした。建前だけしか流すことのできない新聞、テレビの情報だけでは満足できない人にお薦めします。本の評価としては★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・ユダヤ人は、「世界一教育熱心だ」と自負しています。しかし、そんな彼らも、「自分たちと同じくらいのレベルなのではないか?」と尊敬している民族がいる。それが、「日本民族」。(p188)
・本多先生に「金に支配されないために、蓄財に励め」と勧めたのは、ミュンヘン大学の著名なブレンタノ教授でした。(p213)
【私の評価】★★★★★(96点)
目次
序章 アメリカ没落後、日本は?
第1章 崩壊寸前の日本は大減税で復活する
第2章 移民労働者受け入れに反対!
第3章 平和ボケ外交音痴日本の行く末
第4章 食料危機とエネルギー危機をどう乗り切る?
第5章 世界一教育熱心な国日本が失った"教育"
第6章 脱アメリカ信仰!日本は世界から愛されている
著者経歴
北野 幸伯(きたの よしのり)・・・1970年生まれ。国際アナリスト。ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学卒業後、プーチン大統領の元ブレーンとともに日露ビジネスコンサルティング会社IMT設立。1999年からメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」を発行。イラク戦争、北朝鮮情勢、次はイランなど次々と予測を的中させる。モスクワに28年滞在。2018年、日本に帰国
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メルマガで紹介されていた
『隷属国家 日本の岐路―今度は中国 の天領になるのか?』
を読んで、
世界規模で物事を考えるようになりました。
それ以外にも5つ星評価の本を中心に本を購入し、
読書が趣味の一部になりました。
このメルマガに出逢えて幸せです。