【書評】企業改革のノンフィクション「V字回復の経営」三枝匡
2005/01/05公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
優秀な人を集める
著者の実話をもとにした企業のV字回復を描写した一冊です。その対応した内容が、タスクフォースを作って改革を実施した日産の復活によく似ているのが印象的でした。トップのリーダシップのもとに、トップ直轄のクロスファンクショナルチームをつくり、優秀な人を集めるのです。
なぜならトップが自ら現場に出ていって、改革を指揮しなければ、組織の危機感を保つことはできないからです。つまり、仕事のやり方を変えようと思ったら、トップが部下から人気者であることはできないということなのです。
改革タスクフォースのメンバー選定・・・人選を間違えれば改革の行き先に致命的な影響が出る。(p76)
教科書どおりに改革を進める
ある知り合いのコンサルタントが、「日産でカルロス・ゴーンがやっていることは、教科書どおりのこと」と言っていました。この本が教科書と思うほど似ていますし、実話だけあって、内輪の反対勢力などの描写がリアルです。
しかし、どうして普通の会社は教科書どおりのことができないのでしょうか。カルロス・ゴーンは、コミットメントが達成されなければ役員は総退陣すると言いました。そこに、教科書にはない人間の力を感じるのです。
日本の普通の会社では、仮に社内に業務改革をしようとする人がいたとしても、自分たちのやり方を否定するような人間は、よってたかって事前につぶされているというのです。確かに現実的に仕事を変えようとすれば、普通につぶされますので、一番いい方法は、周りが気づかないうちに改革を進めることなのでしょう。
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この本で私が共感した名言
・日産自動車の業績のV字回復を見て、日本経済新聞社は「サンデー日経」面に、日産がリストラ費用などを前倒しで計上し、業績回復を事実以上によく見せる会計処理を前年に行っていたという批判記事を載せた・・・しかし私は、危険な吊り橋を必死の思いで渡ってきた改革先導者たちの成果を「パフォーマンス」と呼ぶ、この外野席の気楽なヤジに、当事者でもないのに無性に腹が立った(p364)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
プロローグ 不振事業をいかに蘇らせるか
第1章 見せかけの再建
第2章 組織の中で何が起きているか
第3章 改革の糸口となるコンセプトを探す
第4章 組織全体を貫くストーリーをどう組み立てるか
第5章 熱き心で皆を巻き込む
第6章 愚直かつ執拗に実行する
エピローグ 事業変革の成功要因
著者経歴
三枝 匡(さえぐさ ただし)・・・株式会社ミスミグループ本社取締役会議長。1967年一橋大学経済学部卒業。三井石油化学を経て、ボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号コンサルタントになる。スタンフォード大学でMBAを取得後、プロ経営者を目指し、30代で赤字会社2社の再建とベンチャーキャピタル会社の経営をそれぞれ社長として経験。40代から16年間、不振企業の再建支援を行う「事業再生専門家」として活動。2002年ミスミ(現ミスミグループ本社)社長CEOに、2008年会長CEOに就任し、2014年より現職。同社を社員340人の商社からグローバル1万人の国際企業に変身させた。一橋大学大学院客員教授も務める。
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