「戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ」三枝 匡
2007/01/09公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
事業立て直しのケース・スタディ
30代で経営者として活躍した著者が、自らの経験を脚色して、小説仕立て(ケース・スタディ)として経営の本質を教えてくれます。ケース・スタディの状況設定は、大企業の新規事業担当者が、投資先のベンチャー企業に出向し、事業を立て直すというものです。
著者の経験をベースとしているため、本当にありそうな設定で小説とは比較にならないくらい現実味があります。事業立て直しのために修羅場に入っていく親会社の社員の気持ちや、いきなり外から上司がやってきたときの部下の気持ちなどがリアルに描かれています。
業績が悪い会社では会社の存続さえ厳しい状況なのに、その社員に危機感がまったくないということが多いという。不思議といえば不思議ですが、だからこそ業績が悪いわけでえす。
なまぬるい会社に共通した特徴は、社員のエネルギーが内向しているということである。・・・「お客様」と「競争相手」に対する意識が薄く、もっぱら自分たちの都合がまかり通っていることが多い(p78)
事業立て直しのケース・スタディ
MBAではケース・スタディを重視する学校が多いようですが、そのケース・スタディは表面的なものであることが多いようです。だから経営戦略のことを勉強したつもりでも、いざ実際の仕事に適用しようとすると、なかなかうまくいかないというのです。目の前の事象に苦労し、悩んでいると、ちょっとしたきっかけでひらめきが降ってきて、それで頭の中が整理されるというのです。
経営にはプロがいるんだ、ということを実感する一冊でした。この本を読むことは、MBAで学ぶケース・スタディよりもっと効果的なはずです。日産のカルロス・ゴーンのやったことと比較しながら読むと、さらに楽しめる一冊だと思いました。★4つとします。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・部下をプロに育成するためには、その組織にプロの上司や教官がいなければならない・・・狭い組織の中で、突出してくる「出る杭」を、プロ意識の薄い上司や同僚が皆で叩いているうちに、部下は普通の人になってしまう(p8)
・画期的な成果を収めるマーケティング戦略は、しばしば、営業マンのそれまでの常識や習性に逆らう内容を持っている(p194)
・日本で成功する人のパターンは、二十代でたくさん恥をかき、三十代で一度は自信過剰になって失敗し、四十代では謙虚に努力して、五十代で花開く、といったところではなかろうか。(p260)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
プロローグ 日本企業の泣きどころ
1 飛び立つ決意
2 パラシュート降下
3 決断と行動の時
4 飛躍への妙案
5 本陣を直撃せよ
6 戦いに勝つ
エピローグ 三〇代のチャレンジ
著者経歴
三枝 匡(さえぐさ ただし)・・・1944年生まれ。三井石油化学に入社。ボストン・コンサルティング・グループに転職。1975年スタンフォード大学MBA。その後、バクスター社、大塚電子、テクノインベストメントの代表取締役。1986年三枝匡事務所を開設。事業再建のため、役員、事業部長、監査役などの立場で企業に参画する。2002年よりミスミ代表取締役。
読んでいただきありがとうございました!
この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 42,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
お気に入りに追加|本のソムリエ公式サイト|発行者の日記
コメントする