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「日本に足りない軍事力」江畑 謙介

2018/01/16公開 更新
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日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE)


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

ミサイル迎撃システム開発が必要

20年前から北朝鮮、中国の脅威は分かっていたんだな~と思いながら読んだ一冊です。何十年も前から北朝鮮は、弾道ミサイルと核兵器を開発してきました。20年前にも今と同じように北朝鮮のミサイルが日本列島を横断し、大きな問題となりました。この本では、敵の弾道ミサイルや巡航ミサイル迎撃システム開発・導入の必要性を指摘しています。


つまり、ロシアや中国が巡航ミサイルの開発に力を入れ諸外国に輸出しているので、日本はすでに本格的な巡航ミサイル防衛の対策を考え、着手しなくてはならないのです。巡航ミサイルは低空を飛んでくるため地平線や水平線の上に出てくるまで探知は不可能です。地上や海上からでは不可能な巡航ミサイル防衛網を作らなければならないのです。


・1993年5月、北朝鮮は新型弾道ミサイル、米国が「ノドン」というコードネームで呼ぶミサイルの発射実験を行い能登半島沖250キロの日本海中部に着弾した・・1998年8月31日に北朝鮮が「白頭山」ロケットで「光明星1号」人工衛星の打ち上げを試み・・そのロケット・ブースター(二段目)が日本本土(本州北部)の上空を通過して太平洋に落下する(p7)


離島の防衛が必要

そしてもう一つの課題は、何千とある日本の離島の防衛であると指摘います。東シナ海の離島への侵攻に対して、いかに制空権、制海権を奪取するのか。地上部隊をいかに運ぶのか。地上部隊をいかに航空機から支援するのか。すでに10年前に脅威は予想されていたのです。


北朝鮮の脅威や中国の軍事力の強化、一方でソ連の崩壊による北方の軍事的脅威の大幅な減少などから、北方に代わって西方、南方の防衛力を強化する必要性は誰もがわかっていたのです。目の前に危機が迫ってから準備しても、間に合わないのかもしれません。


・島嶼防衛・・島を守っている敵の水上部隊、航空部隊を撃破し、制空権と制海権を確保しておいてから、次に島に陸上自衛隊部隊を送り込んで、敵の掃討作成に着手するという順になる(p148)


政治家と防衛省の怠慢

この本では、予想される脅威に対して対策を講じなかったとしたら、それは政治家と防衛省の怠慢以外のなにものでもないと断言しています。できる範囲で対応しているのだと思いますが、東京電力の売り上げと同じ年間5兆円程度ではこれが限界なのでしょうか。江畑さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・仮に北朝鮮の弾道ミサイルや核兵器の製造、保管、貯蔵施設、基地に関する正確な情報があったとしても・・実際、地下・トンネル施設を造る方は、そう簡単には破壊できないような場所を選び、構造にするはずである・・結局、この種の地下・トンネル施設を破壊するには核兵器が一番確実という話になる(p128)


・空母「ワリャーグ」を、中国は2002年に購入した。当初はマカオでカジノに使うと説明されていたが、2008年中期時点でも、まだ大連のドッグ内で整備、修理、あるいは建造作業を継続している。このワリャーグを中国がどう使うつもりなのかに、世界の関心が集まっている(p197)


・2007年4月にエストニア・・がソ連邦に組み入れられていた時代に建設された、第二次世界大戦におけるソ連軍の勝利を記念するソ連兵の銅像を移設したのが理由と推測されるが、4月27日からDoS攻撃が始まり、大統領官邸、議会、政党の本部や支部、銀行、メディア、通信会社のウエブサイトが三週間にわたって攻撃された・・銀行や携帯電話などのサービスも停止し、社会生活と国民の安全が大きな危険に晒される結果になった(p271)


▼引用は下記の書籍からです。
日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE)
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江畑 謙介
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 弾道・巡航ミサイル防衛―弾道ミサイルの防衛力強化と巡航ミサイル防衛
第2章 長距離攻撃能力
第3章 空対地精密攻撃能力
第4章 パワープロジェクション能力
第5章 宇宙戦・サイバー戦能力



著者経歴

江畑謙介(えばた けんすけ)・・・1949年生まれ。1981年、上智大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。1983年~2001年、英防衛専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー」の通信員。1992年より通産省産業構造審議会「安全保障貿易管理部会」臨時委員。1995年、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員。1999年より、防衛庁防衛調達適正化会議(現、防衛省防衛調達審議会)議員(現職)。2005年4月より、内閣官房「情報セキュリティ政策会議」有識者会議構成委員(現職)。2005年より、拓殖大学海外事情研究所客員教授(現職)


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