「電力と国家」佐高 信

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電力と国家 (集英社新書)

【私の評価】★★☆☆☆(65点)


■電力業界の歴史について
 まとめた一冊です。


 類書は多いのでそうした本を基に
 書いているようです。


 何が云いたかったかといえば、
 原子力発電をやることになった
 経緯なのでしょう。


■原子力発電の良いところと
 悪いところは電力会社もわかっていた。


 原子力を国策としてやることになったとき、
 無責任な役人に任せるより、
 自ら原子力をやると判断したのです。


 そうした覚悟があったのなら、
 千葉にでも原発を作るべきだったのでしょう。


 佐高さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・やっと釈放された松根のために新橋で慰労会をしてやったのが、
 松永安左エ門であった。・・
 「松根君、人間は死ぬような病気の経験もなく、
 命がけの恋愛をせず、くさい飯を
 くったことがないのでは大した人間にはなれぬ。
 君は願ってもない経験をしたのだ」(p63)


・「身を挺することを知らないお役所仕事で、
 電力事業などできるわけがない。
 官僚にできるのは、電力と国を滅ぼすことくらいだ」
 と、隠遁した山荘で、茶をたてながら、
 つぶやいていたという松永安左エ門。
 その予言は、ほどなく的中する(p75)


・関東配電常務・木川田一隆・・
 「過当競争と国家統制との弊害を身をもって経験した
 わたくしの結論は、人間の創意工夫を発揮するためには、
 民有民営の競争的な自由企業とすること」という信念のもと、
 松永安左エ門らと九電力体制を作り上げていくのである(p107)


・松永が次の取り組んだのは、
 電気料金の改定という大仕事だった・・
 「もし政府案の3%という低率では日本経済の
 復興は期しがたい。米国で電源開発資金について
 話し合う折りは8%を主張してほしい」・・(p125)
 

・松永は各社首脳を集め、
 「適正原価にもとずく採算可能な電気料金」
 の算出を命じた。
 その際、減価償却を定額法でなく
 定率法で実施するよう言い渡した。
 各社が、公益委に出した値上げ申請率は、
 平均76%であった(p126)


・GHQは定額を主張し、それによって値上げ率を切りつめると
 値上げ幅は平均30%となり、8月に実施された・・
 そして翌27年5月に、電力九社は再度、
 平均28.8%の値上げをした。
 このときも非難轟々だったが、公益委の認可が下りた以上
 どうにもならなかった(p130)


・当時、原子炉の受け皿をどこにするのか、
 政府内で対立が起っていた。
 原子力委員長の正力松太郎は、迅速かつ柔軟な対応が
 可能な民間企業を受け皿にすべきだと主張し、
 経済企画庁長官・河野一郎は、
 まだ不安定要素が多い原発は、
 国家機関で慎重に行うべきだと
 主張していた(p138)


・日本原子力産業会議の代表常任理事だった橋本清之助・・
 「われわれ原子力関係者は社会とファウスト的契約を結んだ。
 すなわち、われわれは社会に原子力という豊富なエネルギー源を与え、
 それと引きかえに、これが抑制されないときに、
 恐るべき災害を招くという潜在的副作用を与えた」と。(p142)


・日本航空は倒産させ、会社更生法によって再建を図っている。
 どうして東京電力は倒産させられないのか。
 資本主義の社会のはずなのに、突如そうではなくなる
 日本の縮図を見たような東電の株主総会だった(p170)


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【私の評価】★★☆☆☆(65点)



■目次

第1章 国家管理という悪夢―国策に取り込まれた電力事業
第2章 誰が電力を制するのか―「鬼の棲み家」で始まった民の逆襲
第3章 九電力体制、その驕りと失敗―失われた「企業の社会的責任」
おわりに 試される新たな対立軸



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