【私の評価】★★★★★(93点)
■著者は、1999年、北朝鮮の工作船を
逃してしまった能登半島沖不審船事件では、
イージス艦みょうこうの航海長でした。
不審船は威嚇射撃に一時停止しましたが、
幸運にも?高速で北朝鮮の方に
逃げていきました。
当時、イージス艦には
防弾チョッキもアサルトライフルも
暗視装置もありませんでした。
自衛官は、体に「少年マガジン」を
ガムテープで巻きつけて
不審船へ突入しようとしていたのです。
・艦内にはまだ防弾チョッキも
装備していなかった・・
拳銃は、撃ったことはおろか、
触ったことすらなかった。
そんな彼らが、・・高度な軍事訓練を
受けているに違いない北朝鮮の工作員らと、
銃撃戦をする(p15)
■その後、防衛庁は、
海上自衛隊に特殊部隊を
創設することを決定。
著者は、特別警備隊準備室の
3名のうちの1人に選ばれました。
著者が、教官となって
特殊部隊員を教育。
7年後、異動を内示され時、
自分で特殊部隊の技術習得を
継続していくことを決断。
自衛官を退職し、フィリピンで
各国の友人から戦闘技術を習得し、
後輩に伝えることにしたのです。
・拳銃についても、銃口を人の身体に
接した状態から真下か真上に
ねじ込みながら撃てという。
そうしなければ反撃のいとまを
与えてしまう(p153)
■戦闘技術を磨く中で、
著者の中で大きな課題となったのは、
日本という国を守る理由でした。
外国に比べ日本の自衛隊は、
非常に優秀です。
その優秀な自衛隊員が
死を覚悟して仕事ができる
理念が日本国にあるのか、
ということです。
伊藤さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・乗り込んだ工作母船は、
最後は自爆するだろうに、
あれで行っちゃうのかよと思った。
若い海上保安官の顔を見て気の毒に思った・・
向こうは、北朝鮮政府の軍事訓練を受けた
軍人なのである。ものが違う。
そこに行かせちゃうのか。違うだろう。(p29)
・あくまで一般的傾向としてだが、
軍隊には、その国の底辺に近い者が多く
集まってくるものなのだ・・
「何て優秀な兵隊なんだ。
こんな国と戦争したら絶対に負ける」と、
毎回必ず言われる(p131)
・拉致被害者を奪還できるか・・
奪還する日本人の人数の
五倍から十五倍の犠牲を覚悟しての
作戦立案になる(p142)
・我慢を重ねて、最終的に堪忍袋の緒が切れる。
この傾向は自分の中にはっきりとあるし、
日本人の国民性としてもあると思う・・・
譲るばかりではなく、この線以上は
譲る気がないという意思を強く示すことも、
事態を収拾するための
大切な配慮であるはずだ(p237)
・あなたの国は、おかしい。
なぜ先祖が子孫のために残した掟を捨てて、
他人が作ったものを大切にしているのか?・・
先祖が必死で伝承してきた掟を
捨ててしまうような国家、国民の何を
いったいどうして守りたいのか?」
と言われれた。
私は、一言も返すことができなかった(p6)
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【私の評価】★★★★★(93点)
■目次
はじめに ―戦う者の問いと願い
第一章 海上警備行動発令
第二章 特殊部隊創設
第三章 戦いの本質
第四章 この国のかたち
おわりに ―あの事故のこと