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「ユーロの正体 通貨がわかれば、世界が読める」安達 誠司

2013/04/30公開 更新
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ユーロの正体 通貨がわかれば、世界が読める (幻冬舎新書)


【私の評価】★★☆☆☆(69点)


要約と感想レビュー

ユーロの不動産バブル破裂

昨日に続き、経済のお話。ユーロの成り立ちを復習し、今後を予想します。


ユーロ前のEMS時代は、自国通貨高傾向にあったフランスやドイツなど国々は、輸入が増えて輸出が減るため輸出額マイナス輸入額である「貿易収支」がどんどん赤字になり、さらに財政収支の赤字にもなっていました。その結果、意図的に自国通貨安を起こすため、金利を低くする傾向にあったという。


そしてユーロが誕生すると、金利が低下しました。それまで、経済が弱く高金利であった地域では、低利の資金を使った投資により不動産バブルが発生。そのバブルが破裂することで、日本のバブル崩壊と同じような状況になっているらしいのです。


例えば、スペインでは、農家が不動産ブームで農地を高価格で移民に売却し、売却資産を担保に投資用マンションを購入して、その家賃収入で引退生活を楽しむといったことが、行われているというのです。こうした不動産バブル破裂という混乱の中で、ユーロ圏維持のために各国が努力をしているのです。


著者の予想は、こうしたユーロの危機と統合に向けた努力が、今後も繰り返されるだろうということです。統合したい、でも中途半端だと矛盾がでる。その矛盾に耐えつつ、中途半端から一歩づつ統合に向けて進んでいく。それが、ユーロの現状なのでしょう。


・ユーロ参加各国は、独自の金融政策をとれない。そのため無理をしてでも財政支出拡大策(財政赤字政策)をとるしかなかった・・・景気が悪化すれば、政府の税収はさらに減ります。(p159)


ユーロの不動産バブル破裂

ユーロを崩壊させないとすれば、現状維持に努力することになります。それは、弱い地域(国家)を資金援助し続けるということになります。急に統合は進みませんので、弱い地域の経済は弱くなり、世界からユーロ資金の引き揚げが続くと、著者は予想しています。


例えば、スペインの金融機関は、すでにブラジルをはじめとする南米諸国から資金を引き揚げはじめているという。ユーロ危機によって、アジアなどの新興経済圏からユーロが引き上げとなり、アジアの高度成長を止める可能性もあるというのです。ユーロについては、実際にヨーロッパに行ってみないとわからないのかもしれません。2,3週間ヨーロッパに行ってみたいなあ~。安達さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ギリシャの全労働者中、公務員の割合が24%にのぼり、その所得は全労働者の所得の33%に達している。つまり、ギリシャは公務員が多いだけでなく、公務員の給与が民間の約1.5倍高い(p100)


・ユーロの導入によって、さほど一人あたりのGDPの平準化は起こっていなかった・・・労働規制が強い国では、「他国からの効率的な労働力の移転(流入)によるメリットを受けとることができなかった」(p128)


・バブルの崩壊はいつも、中央銀行の金融引き締めという名の、資金回収政策によって引き起こされている(p147)


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幻冬舎
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【私の評価】★★☆☆☆(69点)


目次

プロローグ なぜユーロ危機はいっこうに解決しないのか
第1章 ユーロはこうして苦難を乗り越え、成立した
第2章 ユーロが失敗することはEMS時代にわかっていた!
第3章 ユーロの正体を経済学から読み解く
第4章 ユーロ危機の正体
第5章 ユーロは今後どうなるのか
第6章 日本が危機に巻き込まれるとき
エピローグ 日本が真にユーロに学ぶべきこと



著者経歴

安達誠司(あだち せいじ)・・・1965年生まれ。エコノミスト。東京大学経済学部卒業。大和総研経済調査部、ドイツ証券会社経済調査部等を経て、現在に至る。著書に『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、2004年日経・経済図書文化賞受賞)、『脱デフレの歴史分析』(藤原書店、2006年河上肇賞受賞)、『恐慌脱出』(東洋経済新報社、2009年政策分析ネットワーク賞受賞)などがある


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