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「シン・スタンダード―日本人が生きづらいのは、日本の常識しか知らないから」谷口たかひさ

2024/06/06公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

ドイツは意見を主張できる人を育てる

ドイツ在住の谷口さんは、日本の常識は世界の非常識という講演会を行っています。著者が最初に強調するのは、教育の考え方です。


日本では中学校くらいになると成績で進路を考えるようになりますが、デンマークでは、子どもにテストや通知表で点数をつけることが禁止されているという。著者は、勉強を嫌いな日本人が多いことを不思議に思っていましたが、その理由は学校で順位をつけることではないか、と考えているのです。


日本では成績は主にテストや授業態度で決まりますが、著者のいるドイツでの成績評価の60%は「授業中の発言」で決まるというのです。日本では真面目で正解を書ける人を求めますが、ドイツでは自分の意見を論理的に主張できる人を求めているのです。


ドイツの教育は、「たった一人でも反対できる人を育てる」ことを目標にしている(p78)

家族との時間を優先する

もう一つ印象的なのは、働くことへの考え方です。著者の滞在しているドイツでは、土日にお店は開いていません。非常に不便なので、なぜ土日にお店を開かないのか聞いてみると、逆に「土日に働いたお金で、何のためにそのお金を使うのか?」と質問されたという。つまり、ドイツの人々の中には、お金のために働くより、家族との時間を優先するという意識が浸透しているのです。


アイスランドでは2015年から試験的に週休3日制を導入されているし、ドイツでは、家庭の料理で「火を使う」のは、晩ご飯の時だけだという。日本人から見ると手抜きに見えますが、家族との時間を優先するという目的には、合理的な判断なのです。


土日の家族との時間を犠牲にしてまでお金を稼いで、いつ何のためにそのお金を使うの?(p100)

ルールは変えるもの

私が面白いと思ったのは、スウェーデンの教科書に、「ルールは変えるもの」と書かれているということです。トヨタ生産方式でも作業標準は、変えるためにあると教えますが、同じことを学校で教えているのです。


また、スウェーデンの教科書では、「事実」と「価値観」を区別しましょうとか、テレビなどのメディアはあなたに何かを買わせようとする広告によって存続しています、などと世の中の物事の本質を教えているという。


他の国の状況を知るのは参考になりますね。ただ、それぞれの国の事情もあるので、背景や経緯もよく調べて参考にしたいものです。谷口さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・2022年、フランスでは「いじめ」について厳罰化する法案が通った・・最大で、禁錮10年、罰金2000万円(p144)


・「グリホサートのせいでガンになった」という訴訟が起き、裁判所は訴えを認め、その薬を作っている農薬大手の会社に支払いを命じた(p172)


・「失業率は、どれくらい下がったか」「所得の中央値は、どれくらい上がったか」・・シンガポールでは、こういった多数の項目で、大臣のボーナスを決める(p201)


▼引用は、この本からです
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谷口たかひさ、サンマーク出版


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

CHAPTER1 HAPPINESS
CHAPTER2 MONEY
CHAPTER3 EDUCATION
CHAPTER4 EAT
CHAPTER5 POLITICS
CHAPTER6 RULE
CHAPTER7 ENVIRONMENT



著者経歴

谷口たかひさ(たにぐち たかひさ)・・・1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のためネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストア従業員、アフリカのギニアでの学校設立、経営コンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、ドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め40個もある。


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