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本屋大賞受賞「流浪の月」凪良 ゆう

2023/08/22公開 更新
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「流浪の月」凪良 ゆう


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

9歳の少女と19歳の大学生

2020年の本屋大賞ということで手にした一冊です。9歳の少女であった主人公の父が病気で亡くなり、母はそのショックで酒浸りになり行方不明になってしまいます。主人公は伯母の家に預けられます。すると伯母の中二の息子が夜な夜なベッドに忍び込みジャニー喜多川のような行為をするようになるのです。


行き場をなくした主人公は、公園で19歳の大学生と出会い、大学生のマンションについていってしまうのです。2ヶ月を2人ですごすうちに、大学生は少女を誘拐したことになってしまいました。誘拐されたとして少女の顔写真がテレビで放映される中で、二人は動物園に遊びに行きます。そして動物園で警察に保護された二人は、別の人生を歩み、15年という歳月を経て再び出会うことになるのです。


恋人はお菓子だとお母さんは言う(p57)

24歳となった主人公と34歳となった青年

24歳となった主人公は、世間からロリコンから2ヶ月誘拐された被害者として扱われ続けていました。実は誘拐されている間、性的暴行などまったく受けていないという事実を言っても理解してもらえなかったのです。主人公は青年を犯罪者にしてしまったという罪悪感のようなものを持ち続けているのです。また34歳となった青年も少女に会いたいのに、同じくらい会うのが怖いという複雑な思いを持っていました。そうした中、偶然、二人は青年のコーヒー店で出会うのです。


世間や他の人たちは、ロリコンと被害者という目でしかみてくれないなかで、二人だけの共通の体験を共有していることで、理解しあえているのは二人だけ。だから二人は引き付け合うように感じました。わいせつ行為あり、誘拐あり、家庭内暴力ありでテレビドラマになりそうな素材だと思いました。


たまらなく会いたいのに、同じくらい会うのが怖い。更紗のことを考えると、心が激しく揺れた。眠りが浅くなり、心療内科に通いはじめた(p293)

わいせつ行為といじめ

少女は9歳の子どもという設定だから「わいせつ行為をしたのは青年ではなく、預けられていた伯母の家の息子です」といえなかったのは仕方がないことでしょう。わいせつやいじめをする人は、いえなさそうな人を狙うのです。
 

この本を読んでイメージしたのは、実際に枕営業やわいせつ行為をしながらジャニー喜多川のように普通に生活している芸能関係者です。また、同じように同級生をいじめ殺して普通に生活している人も多いのではないかと思うのです。インターネットで自分の恥ずかしい画像を公開されて自殺した人もいます。


こうした構造を変えるためには、我慢することではなく、自殺することでもなく、証拠を集め、警察や相談窓口に告発することなのではないかと思うのです。凪良(なぎら)さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・24歳で結婚しても特に不都合はない。問題は、わたしが亮くんと結婚したいかどうかだ(p82)


・わたしの知らない誰かが、どこかでわたしを見ていて、インターネットに投稿し、それを見ている人たちもいる。とんでもない恐怖だった(p110)


・引き抜かれていたトネリコ・・あのトネリコはぼくだ。ハズレのぼくだ(p282)


▼引用は、この本からです
「流浪の月」凪良 ゆう
凪良 ゆう、東京創元社


【私の評価】★★★☆☆(75点)



著者経歴

凪良 ゆう(なぎら ゆう)・・・1973年、滋賀県生まれ。2007年、『花嫁はマリッジブルー』で本格的にデビュー。以降、各社でBL作品を精力的に刊行し、デビュー10周年を迎えた17年には非BL作品『神様のビオトープ』を発表、作風を広げた。巧みな人物造形や展開の妙、そして心の動きを描く丁寧な筆致が印象的な実力派である。19年に刊行した『流浪の月』が、多くの書店員の支持を集め、2020年本屋大賞を受賞。


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