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「日本とユダヤその友好の歴史」ベン・アミー シロニー , 河合 一充

2023/02/26公開 更新
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「日本とユダヤその友好の歴史」ベン・アミー シロニー , 河合 一充


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

日本とユダヤとの交流の歴史は、長いものではありません。ユダヤは国を失って2000年以上世界を放浪してきましたが、大戦後にイスラエルを再建したのです。日本も国を失う危機がありましたが、なんとか国を失うことは避けることができています。


日本とユダヤの共通点を主張する人もいますが、この本ではやんわりと否定しています。どちらかといえば、日本とユダヤの違いを研究すると面白いのではないでしょうか。


例えば、戦争で国を失ったユダヤ人は、戦争で負けたのは自分たちが弱かったからだ。これからは強い国になって、自分の国を守ると考えています。一方の日本では、なぜ戦争に負けたのかについて直視するのではなく、戦争は悪いことだ、戦争をしないことが大切だ、軍事力を持たないようにしようと考えています。これは正反対の結論なのです。


なぜ日本とユダヤの敗戦からの学びが違うのかといえば、この本では島国で敵が攻めてくることが少なかったこと、仏教の影響で死んだらもう過去は問わないという考え方によるものを推定しています。私は、アメリカの洗脳と、それに乗った左翼思想家や日教組のためだと考えています。


・イスラエルはやむを得ず、自衛のために、時々加害者になります。ですから、イスラエル人は、日本の戦前のことを理解することができます(p57)


過去に日露戦争でロシアに日本が敗北すれば、日本が国を失う可能性がありました。その日本を資金面で支えたのが、ユダヤ人でした。ユダヤ人を弾圧するロシアをユダヤ人は「人類の敵」として、日露戦争で日本を支えたのです。


日本も欧米で弾圧されていたユダヤ人に対して、人種的な偏見を持つことはあまりありませんでした。実際、リトアニアで杉原が出したビザで、多くのロシア人が迫害から逃れることができたことが有名です。杉原はパスポートや旅費などを持っていないユダヤ人に対しても、ビザを発給し、条件を満たさないビザでもユダヤ人は日本経由で第三国に出国できたのです。


・杉原ビザの場合、多くが条件を満たしていない・・ユダヤ人はみな入国できた・・杉原は、日本においてユダヤ難民が援助を受けることに疑いを抱かなかったようだ(p75)


ユダヤ人は欧米で迫害されていました。日本人もアメリカで迫害されていました。もし、日本がユダヤ人のように国を失ったとしたら、同じように国を再建できるだろうか、と妄想していました。その時には、二度と国を失わないように、軍事力にも配慮した国造りをするはずです。


もう少しユダヤについて調査したいと思いました。良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・シフは帝政ロシアを「人類の敵」と見ており、・・(日本の)国債の50%の抵当を取り付けてくれた(p12)


・シベリア鉄道はロシアの軍事・経済の拡大に大きな弾みをつけ、日本との対立を早める要因となった。この鉄道は、国外からの巨額の資金調達によってまかなわれたが、その中の一つがフランスのロスチャイルド銀行である(p14)


・ニコライ二世はユダヤ人を嫌い・・と同時に、皇帝は日本人も嫌っていた(p16)


・日露戦争・・日本の軍隊では識字率は非常に高いのに対して、ロシア兵の多くは読み書きができませんでした(p34)


・日本の教科書には「原爆投下」・・「原爆は悪かった」「核兵器が悪かった」というけれど、誰が責任なのかは問題にしない。アメリカへの憎しみがない(p42)


・祭司(コーヘン)・・・コーヘンは、日本の皇室と同じように男系で、長い間続いています・・神殿は2千年前に崩壊した。それなのに、コーヘンだけは続いているんです(p60)


・杉原は、ソ連当局から、日本の通過ビザがあればソ連も通過ビザを出すことを確認している・・・ロシア人以上にロシア語を上手に話し、ロシア人の気持ちを捉える力を持っていた(p77)


▼引用は、この本からです
「日本とユダヤその友好の歴史」ベン・アミー シロニー , 河合 一充


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

1 日本を助けたユダヤ人
2 ユダヤ難民を助けた日本人
3 ユダヤ民族への日本の反応
付記 戦前にユダヤを理解した思想家・満川亀太郎



著者経歴

ベン・アミー・シロニー(Ben-Ami Shillony)・・・1937年ポーランド生まれ。歴史学者。1948年イスラエルへ移住。ヘブライ大学卒業。国際基督教大学、プリンストン大学に留学、博士号取得。1971年よりヘブライ大学東洋学部教授となり、日本の歴史・文化を講義。2007年ヘブライ大学名誉教授。2000年日本研究に貢献して勲二等瑞宝章受賞。


河合一充(かわい かずみつ)・・・1941年愛知県生まれ。ミルトス編集代表。1965年東京大学理学部卒業。同大学院修了後、学習院大学数学科助手。1972年UCLAでPh.D.取得。1978年エルサレムに語学研修留学。1985年ミルトス創設に関わり、現在に至る。訳書に『タルムードの世界』、『ユダヤ人の歴史』、『評伝マルティン・ブーバー』ほか。


日本・ユダヤ関連書籍

「聖書に隠された日本・ユダヤ封印の古代史―失われた10部族の謎」
「日本とユダヤその友好の歴史」ベン・アミー シロニー , 河合 一充
「日本人とユダヤ人」山本 七平
「発見! ユダヤ人埴輪の謎を解く」田中英道


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