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「ザ・キャッシュ・マシーン」リチャード・クラフォルツ、アレックス・クラークマン

2022/02/17公開 更新
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「ザ・キャッシュ・マシーン」


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 制約条件理論TOC(Theory of Constraints)を営業に活用する方法を、小説形式で教えてくれる一冊です。わかりやすく言えば、ボトルネックがどこにあるかわかれば、そこを集中的に改善することで、成果が出るということです。


 この本では、営業プロセスをリストアップし、それぞれの段階の数やかかる時間を分析しプレゼンテーションがボトルネックとわかったらそのキャパシティを2倍にするといった対応をしています。また、契約前の与信審査がクリティカルになって時間がかかっているとすれば、与信審査を効率化する。


 このようにデータを集めて、ボトルネックを分析して明らかにし、対策していく、というのが制約条件理論の真骨頂なのでしょう。わかっちゃいるけどデータがない、データはあるけどあまり活用していないという会社が多いのではないでしょうか。


・販売サイクルへの見込み客の追加は、ボトルネックを通過できる割合に合わせてのみ、許されるのです(p44)


 興味深かったのは、営業部門の業績評価を四半期単位でなく月単位に変えたことでしょう。この本では四半期末に注文が殺到していたものが、平準化され、月単位の営業目標となることで営業へのフィードバックがスピードアップされることになっています。よくコンサルタントが月次決算で業績が上がると言うのは事実なのでしょう。


 また、月ごとの目標をちょっとだけストレッチして余裕を作り、その余裕を年度末にバッファーとして置くことで、業績管理の仕組みとしています。イメージとしてはノルマとストレッチの2つの目標作ったというかんじでしょうか。ただ、ストレッチをやりすぎると成果を偽装したり、違法なことに手を出す人が出世してしまうなど副作用も大きいので注意が必要なのでしょう。


・用意したバッファーの三分の一が消費されるまでは干渉せずに自由にやらせ、バッファーがそれを下回ったら積極的に介入してサポートしてくれ(p251)


 コンサルタントはこんなかんじで企業のコンサルをするんだろうな、と感心しました。月次決算にして、営業のデータを収集し、分析するというのは、当たり前のようでできていない企業が多いのではないでしょうか。こうした仕組みは営業にストレッチさせるという意味もあるので、経営レベルで介入していかないと、なかなか整備できないのではないかとも思いました。


 TOC理論の活用方法がわかりやすく書かれてありますので、★4としました。良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・営業部員から挙げられた不平や心配ごとのなかで多かったのはどんなことでした。多かったものを五つ教えてもらえますか(p32)


・見込み客が25社あったとしたら、そのうちだいだい何件くらいを契約にまで持っていくことができますか(p31)


・販売サイクルの中で省略できるステップはどれですか。逆に、省略できない、絶対に不可欠なステップはどうれですか(p33)


・マルチタスキングがうまくいっていない・・・一つのプロジェクトが完了したら、その時はじめて、もう一つ別のプロジェクトにとりかかっていい(p140)


・売上目標・・・四半期ではなく一か月ごとに分けてみた。これまでの四半期のやり方はダメだ・・・達成できなければ、その分だけバッファーが減っていくだけだ。しかし、みんなでバッファーが減りすぎないように毎月頑張らないといけない(p211)


・営業が月単位のサイクルに変わって、オーダーが四半期中、平均してスムーズに入ってくるようになったんだ(p256)


▼引用は、この本からです
「ザ・キャッシュ・マシーン」
リチャード・クラフォルツ、アレックス・クラークマン、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

1.苦境
2.マーケティングの宿題
3.「本当に」
4.ボトルネックはどこだ
5.急がば回れ
6.二兎を追うものは
7.期末症候群
8.新しいインセンティブ
9.キャッシュマシーン
10.さらなる挑戦



著者紹介

 リチャード・クラフォルツ・・・国際市場においてハイテク機器、製品の販売、マーケティング、顧客サポート業務に長年携わる。現在、台湾において、拡大する中国の製造業を視野に入れた流通関係の仕事に従事している。INSEAD(欧州経営大学院)在学中にTOCに出合って、TOCのコンセプトおよび思考プロセスに興味を抱き、TOCの導入を自ら実践する。テルアビブ大学にて電子工学専攻卒。1992年INSEAD卒、MBA取得


 アレックス・クラークマン・・・ゴールドラット・インスティテュート(イスラエル)会長。生物理学者。テルアビブ大学において教鞭を執っていた他、産業界においても長年の経験を持つ。イスラエル陸軍従軍時、TOC提唱者のエリヤフ・ゴールドラット博士の上官だったことから、OPTおよびTOC初期のコンセプトに出合い、1985年以降、TOCの普及活動に深く関わる。TOCの教育プログラム開発や、フォード、フィリップス、インテル、マイクロソフトなどの大手企業におけるTOC導入などにも携わる


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