「今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」」佐藤 耕紀
2022/02/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
「星野リゾートの教科書」に刺激されてマーケティングの本を爆読みしています。著者は防衛大学校で「経営学」「マーケティング」を教えてきました。なぜ防衛大学校で?自衛隊にもマーケッティングの知識が必要なのです。
この本の特徴は、各項目が質問になっていることでしょう。
なぜ、「カルディ」はコーヒーを渡す?
なぜ、ドラッグ・ストアで食料品が安い?
誰が「結婚指輪は給料3か月分」と決めた?
こうした質問をされると、次を読みたくなるのです。こうした質問をすることで、興味深くマーケティングの知識を防衛大学校の生徒に教えているのでしょう。商売も勉強もうまくいっている背景には、必ず理由があるのです。
・なぜ、「カルディ」はコーヒーを渡す?・・・「相手から何かしてもらうと、自分もお返ししたくなる」(p58)
面白いのは、危ないマーケティングの事例が数多く示されていることでしょう。
絵画商法は、どうやって売っているのか。
1万円以上のジーンズを売るために
4万円のジーンズを売る店。
わざと行列を作る店。
詐欺ではないのですが、いかに人を集め売っていくのかを極めていくと、だんだんと怪しい手法が多くなってくるのです。法律違反にならない程度にマーケティングの技術は使っていきたいものですし、騙されないようにしたいものです。
・「イトーヨーカドー」」のジーンズは、7000円台が主流でした。そこに12600円のジーンズ・・・39800円のジーンズを並べる(p54)
最後に、この本ではライバル商品に勝つためには、「驚き」や「意外性」を演出して、思わず「二度見」するような「気になる」商品にしなければならないと書いてあります。だとしたら、この本には「驚き」があるのかと考えてみると疑問でした。どうせなら、「今だけ2000円割引!」と大きく書いて、小さい字で「定価3600円」と書いておくとか、極悪スマホ会社の売り方をマネしてみると面白かったのでは?
日本にもマーケティングの考え方が入ってきましたので、買い手の私たちもマーケティングを学んでおくと企業の狙いがわかって面白いと思います。入門編として読みやすい一冊でしたので★4とします。佐藤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ヒット・メーカーたちが言うのは・・「ターゲットを絞る」「コンセプトを明確にする」「差別化する」「ポジショニングを考える」(p26)
・なぜ、ドラッグ・ストアで食料品が安い?・・・安い食料品が集客の役割を担っています(p134)
・なぜ、「日高屋」は「マクドナルド」や「吉野家」の近く?・・・日高屋は「ハンバーガー。牛丼。あしたは、日高屋。駅前で待ってます」というCMで話題になりました(p167)
・誰が「結婚指輪は給料3か月分」と決めた?・・・そもそも日本には結婚指輪を贈る習慣はなかった・・・デビアスが「ダイヤモンドは永遠の輝き」などの広告キャンペーンを行なった・・・(p190)
・絵画商法・・「絵の展示会をやっているのですが、よかったら見ていってもらえませんか?」・・「どの絵が気に入りましたか?」(p61)
・ナイトクラブの経営者の中には、中に入れる余地がまだかなりあるのに、入場制限をして店の外に長い行列を作らせる人がいます(p65)
・「リゾナーレ八ヶ岳」・・・大人のためのファミリー・リゾート」というコンセプトが決まりました・・・「ゲームセンター」だった場所を「託児所」や「授乳室」に、「カウンターバー」だっただったところを「ブックス&カフェ」に変えました(p29)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 ざっくりと全体像を知る「マーケティングの基本」
第2章 お客のココロを理解する「マーケティングの心理学」
第3章 Product(商品)どんな商品が売れる?
第4章 Price(価格)価格戦略のしくみ
第5章 Place(流通・立地)どうやってお客へ届ける?
第6章 Promotion(販売促進)どうすれば売れる?
著者経歴
佐藤 耕紀(さとう こうき)・・・防衛大学校 公共政策学科 准教授。1968年生まれ、北海道旭川市出身。旭川東高校を卒業後、学部、大学院ともに北海道大学(経営学博士)。防衛大学校で20年以上にわたり教鞭をとる。経営学にあまり興味がない学生を相手に、なんとか話を聞いてもらう努力を重ね、とにかくわかりやすく伝える授業にこだわっている。就職、結婚、子育て、といった人生のイベントをひととおり終え、生活者としての経験をふまえて、仕事にも人生にも役立つ経営学を探求している。趣味はクラシック音楽と海外旅行。
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