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「資源論―メタル・石油埋蔵量の成長と枯渇」西山 孝

本のソムリエ 2021/11/24メルマガ登録
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「資源論―メタル・石油埋蔵量の成長と枯渇」西山 孝


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 皆さん、ローマクラブの「成長の限界」(1972年)という本を知っていますか?スイスのシンクタンク「ローマクラブ」が、資源は経済成長とともに指数関数的に増えていく。一方で、資源はそんなに増えないので、地球上の資源は50年でほとんどが枯渇してしまう!と警告した一冊でした。ちょうど来年が「成長の限界」から50年目に当たります。ローマクラブの警告は当たっていたのでしょうか?


 ローマクラブはアルミ、クロム、コバルト、銅、金、鉄、鉛、マンガン、水銀、モリブデン、ニッケル、白金、銀、スズ、タングステン・・などの資源をの可採年数を検討していますが、ここでは石油、石炭、天然ガスを見てみましょう。まず当時の埋蔵量を生産量で割った「静態耐用年数」(今でいう可採年数でしょう)は石油31年、石炭2300年、天然ガス38年でした。


 経済成長を考慮するためローマクラブは、生産量が年間に増える成長率を3.9%、4.1%、4.7%と設定しています。50年複利で計算するとだいたい3倍~4倍となり実際に近い数値になります。ところが、埋蔵量は5倍にしただけです。5倍くらいにしておけば十分と考えたのでしょう。結果して石油、石炭、天然ガスは50年、150年、49年で枯渇すると予想されました。やばい!!石油がなくなってしまう!さて、50年後の現在、どうなったのでしょうか?


 関西電力のホームページを見ると、石油、石炭、天然ガスの可採年数は2019年末で50年、130年、50年となっています。枯渇しないどころか、50年前と可採年数は変わらないじゃないですか!!いかに人間の予想が外れるのか、ということでしょう。このように予想がはずれたのは、可採埋蔵量が5倍以上に増えたからです。


 この本では可採埋蔵量が増えた理由を次のように説明しています。まず、技術の進歩と資源価格の上昇です。価格が上がると、採算に乗る鉱床が増えるのです。そして、操業過程で埋蔵量が増えることもあり、さらに技術の進歩で低品位の鉱床でも採掘可能となることがあり、結果して可採埋蔵量が大きく増えたのです。


・埋蔵量の増減を決める事項として、資源技術の進歩と価格・・・新しい鉱床の発見・・・操業過程で発見される派生鉱床・・・品位の低下(p35)


 このようにローマクラブの資源が枯渇する!という警告は、現実化しませんでした。いかに未来を推定すること、シミュレーションが難しいのか、ということでしょう。地球温暖化の根拠となっているシミュレーションも大丈夫なのか不安になります。


 とはいえ、現在はの資源の状況は、1972年にローマクラブが警告を発した状況とあまり変わりません。そしてこれからの未来も過去同じように50年間、大丈夫という保障もありません。だからこそ、資源について真剣に向き合っていかなくては、資源の枯渇という恐ろしい事態になってしまう可能性は存在するのです。もう少し資源について学んでいきたいと思います。


 西山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「鉱業の好不況は、一に価格、二、三、四がなくて五に資源技術」と言われていました(p58)


・レアメタルの備蓄は1983年から始められ、7鉱種(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム)について、わが国の消費量の2ヶ月分が目標となっていました(p147)


・ガリウムやインジウムでは、わが国の消費量は世界の生産量の50%前後になっています・・・鉱山開発のタイムラグを加味した近・中未来への対策が必要になります(p136)


・ジスプロシウム・・・ほかにも白金やタングステンなどのレアメタルもさまざまなかたちでで大きなリスクを抱えています(p152)


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▼引用は、この本からです
「資源論―メタル・石油埋蔵量の成長と枯渇」西山 孝


【私の評価】★★★☆☆(70点)



目次

1章 なくならなかった資源
2章 鉱山規模の拡大とメタル価格、リサイクル
3章 資源の枯渇とは
4章 わが国における現未来の資源予測


著者紹介

 西山孝(にしやま たかし)・・・1965年京都大学大学院資源工学専攻修士課程修了、京都大学助手、講師、助教授、教授(エネルギー科学研究科)を経て2003年退官。現在、京都大学名誉教授、東京大学生産技術研究所サステイナブル材料国際研究センターシニアフェロー。工学博士。専攻:資源経済学、資源地質学


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