「社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい」藤間 秋男
2021/10/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
王道は自分で後継者を育成
中小企業の60代社長の約半数は後継者が決まっていない・・という問題提起する一冊です。実際、後継者不在の会社をターゲットとしてM&A(合併・買収)を仲介する業者が増えており、M&Aで売却される企業が増えているというのです。
M&A(合併・買収)によって社長は大金が入って安泰かもしれませんが、買収した企業から天下り役員が派遣されたり、最悪の場合、業績悪化で社員がリストラされてしまうケースもあります。著者のお勧めは、M&A(合併・買収)は最後の手段であって、王道は自分で後継者を育成し、事業を継承していくことです。
M&Aは社員を不幸にする・・・出世レースに敗れた、親会社での役目を失った役員たちが子会社へ追いやられてくる・・・古参の社員たちにリストラ(p18)
「会社の理念」を明確化
自前での事業継承していく前提条件として、現社長が不在でも、業務が継続できる体制づくりが大切になります。そのために毎年、経営計画を作り、計画に基づき各部門が自律的に動けるようにしなくてはなりません。
そして、経営計画の中では継承していくべき社長の想いである「会社の理念」を明確化し、社員に伝えていくのです。つまり、個人のオーナー企業から理念に基づく社会に貢献する企業に脱皮させるということです。
理念の確立と浸透・・・離れていく人がいた一方で、理念に共感して新たに入ってきてくれる仲間もたくさんいました(p53)
オーナー社長が考えるべき課題
後継者育成とは、わかっちゃいるけど、自分で自分に引退を通告するという心理的に手をつけにくい難しい課題だと思いました。だからこそ、今、後継者を真剣に考えるべきだ、という著者の熱い思いが伝わってきました。
後継者には親族、社内、社外といった選択肢がありますが、良い人材を得られるかどうかはわかりません。ただ、会社が発展するのか衰退するのかは、後継者の選定と育成にかかっているわけでオーナー社長が今、考えるべき課題なのでしょう。
従業員アンケートで後継者候補を絞る方法も紹介されており、いろいろな打ち手があるのですね。経験談を含めて説得力ある一冊でしたので★5とします。藤間さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・まず課すべき経営計画は、「その重要な役職を引き継ぐ人を探して育てる」ことなのです(p114)
・子どもへの事業継承が成功している老舗会社は、子どもを頻繁に会社へ連れて行き、現場を見せ、社員たちと交流させるようにしています(p164)
・私もかつては独裁者タイプでした・・・論破することに快感を覚えていた節もあります(p41)
・経営計画は成長とワクワクの素・・・経営計画は年1回ペースで更新(p91)
【私の評価】★★★★★(92点)
目次
第1章 「後継者がいない、育たない」は、ただの言い訳M&Aに逃げる経営者たち
第2章 経営理念の浸透なくして強い組織は生まれないワンマン経営から脱却し承継に備えよ
第3章 経営計画は社員がつくってこそ、価値がある社員の自主性を育てれば、後継者が決まる!
第4章 後継者を育てられない社長は、無能と思え!1年以内に後継者を決めて会社を強くせよ
第5章 社長の覚悟が引退後の会社の未来を切り拓く!
著者経歴
藤間 秋男(とうま あきお)・・・TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長。TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社 代表取締役社長。100年企業創りコンサルタント。公認会計士。税理士。中小企業診断士。行政書士。1952年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手監査法人勤務を経て、1982年藤間公認会計士税理士事務所を開設。2012年より分社化して、TOMA税理士法人などを母体とする200名のコンサルティングファームを構築。100年企業創りと事業承継をライフワークとし、関連セミナーを1500回以上開催。
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