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誰でもできる「はじめての催眠術」漆原正貴

2021/02/09公開 更新
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「はじめての催眠術」漆原正貴


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 大学で催眠を研究し、就職した現在も催眠術師として活動している著者による催眠術の指南書です。自分は催眠術にかからない!と思っている人は多いと思いますが、実は一定割合で催眠術にかかる人が存在するという。


 例えば、腕が自然と上がっていきます、もうあなたは立てません・・といった暗示は半分くらいの人がかかってしまうのです。


・運動暗示:70%~90%・・・禁止暗示:30%~50%・・・感覚・記憶暗示:10%~30%程度の被験者が反応(p75)


 驚いたのは、催眠術を信じさせる仕掛けとして、指をギューと握ると筋肉がこわばる、という特性を利用して、あたかも自分が催眠術にかかっていると思わせるということ。


 また別の方法としては、どうやっても指が閉じる形に指をからまさせ、あたかも催眠術で指が閉まったと思わせる。これは詐欺師がカモを騙すときに事前にカモの個人情報を調べ上げ、なんでも透視できると思い込ませるのと同じ方法に思えました。


 いとも簡単に人というものは騙される、暗示にかかってしまうということなのです。


・「指がどんどん閉じていきます」・・・力を入れ続けていなければ、指を開いた状態でキープすることはできません・・・力が抜けていくにつれて、勝手に指は閉じていきます。それだけであればなんてことのない現象なのですが、重要なのはこれを催眠の文脈で行うことで、あたかも「催眠現象」のように思わせるということです(p108)


 こうした暗示の力をスポーツの世界で活用しているのが良いイメージを持ってからプレイするというもののでしょう。「うまくいく」とイメージできると「失敗するかも」とイメージすると失敗するということです。


 ゾーンというのは、練習で鍛えられた良いイメージに自分を没頭し切った状態であり究極の催眠状態なのでしょう。


・「手が動くかも」と期待していると、実際に手が動き出す。「立てないかも」と期待していると、本当に立てなくなる(p22)


 催眠は詐欺師も利用しているし、営業にも使えるのではないかと思いました。言葉や態度や仕掛けで相手の信頼を得て、自分の思うとおりの暗示をかけて相手を思い通りにうごかすことができるのです。


 もう少し催眠術について調べてみたいと思います。漆原さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・言葉を与えられるだけで、立てなくなったり、何かを好きになったり、自分の名前を忘れたりするのです。それほどまでに暗示の力は強く、人の認知は変わりやすいものである(p5)


・暗示とは、体験や意識、行動の変性をもたらすような言葉です。「あなたの手はだんだん重たくなってきます」「あなたはもう手を開くことができなくなります」といった言葉によって、被験者は実際に、そのような変性を体験します(p21)


・催眠を行う上では常に「自信を持っているかのように振る舞う」のがよいということです(p60)


・「解けない」被験者は出てきます。その場合も慌てず、余裕を持った態度で、「一度手を叩いたら解けます!」とはっきり伝えます。数をゆっくり数えるなどもよいでしょう(p63)


・その手は開きません・・・(手が開いてしまった場合)被験者が、「自分は催眠にかからなかった(自分はかかりにくいタイプだ)」と思い込まないように、すぐに平然と「これだとまだ開くようですね」・・などと続けてください。(p118)


・エリクソンの考え方とは、被験者がどのような反応を示したとしても、それを肯定し利用するというものです・・・被験者から「まったく腕は重く感じません」という反応が返ってきたとします・・・もしかしたら腕が軽く感じられているのでしょうか」と、腕の浮上にちなげていったほうが無理なく現象が実現するでしょう(p179)


・ペーシング・・・被験者が何も喋らない状態で「無言の会話」が成立するためには、被験者が(いいえ)と思うような引っ掛かりを極力減らすことが必要です(p184)


・「いま、楽しそうな顔してるよ」と言われたら、本当にいっそう楽しくなってしまう。「三つ星レストランの料理だよ」と言われて食べれば、きっとその料理は美味しく感じる(p200)


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▼引用は、この本からです
「はじめての催眠術」漆原正貴
漆原正貴、講談社


【私の評価】★★★★☆(81点)



目次

第1章 【準備編1】催眠とは何か
第2章 【準備編2】催眠を行う前に
第3章 【実践編1】運動暗示
第4章 【実践編2】禁止暗示
第5章 【実践編3】感覚・記憶暗示
第6章 【応用編】催眠を自由に使いこなす


著者経歴

 漆原 正貴(うるしはら まさたか)・・・1990年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科修了。開一夫研究室に所属し、手品や催眠の認知科学を研究する。学生時代より、デモンストレーションとしての催眠を実践。大学院在学中にスマートニュース株式会社に入社し、メディア事業開発に従事。現在は出版社に勤務しながら催眠術師としても活動している。


催眠術関連書籍

「はじめての催眠術」漆原正貴
「コミュニケーションのための催眠誘導」石井裕之
「願いがかなうクイック自己催眠」フォーブズ・ブレア
「45分で強い自分になろう ~自信獲得プログラミングCDつき 」ポール マッケンナ


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