【書評】一流の話し手は相手の求めることを話す「人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方」犬塚壮志
2021/01/14公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
聞き手が何を聞きたいかが重要
予備校講師の著者が、聞き手に良い印象を与え、口コミを発生させる話し方を教えてくれます。予備校の生徒は金を払って、多くの優秀な先生の授業の中から自分の授業を選んでいるので、この先生はダメだな、と思えば黙って去っていきます。辛辣なフィードバックをもらえるのはましなほうで、予備校講師は評判が悪ければ、すぐにクビになってしまうのです。
著者が予備校講師になりたての頃は、生徒から「生徒に媚を売っているみたいで、なんかイヤ」「授業に関係ない話はすんな」といった辛辣なフィードバックをもらいショックを受け、先輩講師を研究したという。
著者が予備校講師として学んだことは、先輩講師は生徒が求めることを話しているということです。それは講義の内容を勉強すれば、合格できるということ。入試の出題傾向を分析した内容であり、信頼ができること。講師も元受験生であり、共に戦う意思があることを伝えたのです。
つまり、話すときには、聞き手が何を聞きたいか、知りたいかが最も重要なのです。先輩講師は、生徒の心を動かすために、話す内容に実利があることを明確に伝えていたのです。
具体的に何を生徒に伝えるかといえば、「機能的利益」と「情緒的利益」です。「機能的利益」としては志望校に合格するために必要な内容を過去の入試問題の傾向分析で伝えます。「情緒的利益」としては、自分も受験生であったときのエピソードを伝え、ポジティブな言葉をかけていくわけです。生徒から「どう口コミされたいか」を想定しながら、評判をデザインするように話すのです。
生徒に伝えていたのは、3点です・・・これから自分が行う講義は、志望校に合格するために必要な点が取れる内容である・・・過去の入試の出題傾向を分析・・講師である自分もかつては受験生で、不安や苛立ちの多い1年を共に歩むパートナーであること(p42)
気が緩んでいると失言する
私がドキリとしたのは、「自信を持ったときに失言して失敗する」という失敗パターンです。特に、コミュニティ以外の人とは人間関係が構築されていませんので、気が緩んでいると失言する可能性が非常に高くなるという。これは「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と言われるように、調子に乗ったときこそ注意することが大事なのでしょう。わかっていても失敗パターンが起きるのです。そこが怖いのだと思いました。
だから著者は「誠実さ」を大切にしています。いかに、話し手の「誠実さ」を伝えるのかといえば、「事実」を伝え、「デメリット」も伝え、逃げないということです。もちろんデメリットを語るときは、対処法もセットで話すことで安心させるのです。そして、1日に1回「今日の自分はどうだったか?」振り返ることで、失敗を繰り返さないようにしている点に感心しました。
失敗パターン・・・自信を持ったときほど、ニュアンスへのこだわりが薄れ、コミュニティの外の人の反発を生むことになってしまう(p234)
ロジックも感情も大事
予備校講師というガチンコの世界で生き延びてきた人らしく充実した内容でした。ロジック(利益)も大事ですが、受けての心(感情)も大事なのです。聞き手を勇気づけ、聞き手が自分の価値に気づくのを手伝ってあげることで、聞き手が自分のことを重要な存在だと気づかせてあげるのです。
このようにロジックと感情の両方のバランスをとって、最低限のレベルをクリアすることで予備校講師として生き延びてきた著者の説明は迫力がありました。犬塚さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「自分」をわかりやすく説明する・・・誰もが無意識のうちに「どんな人が話しているのか」によって話の価値を判断します(p49)
・質問や相談をされたときこそ、千載一遇のチャンス・・・「生徒がわざわざ足を運んできたのはなぜか?」・・・「聞きたいことは別にあるのではないか?」と想像し、生徒の潜在ニーズを常に探るようにしていました(p144)
・聞き手に好かれることを最優先しない・・・「寝ている人はすぐに教室から出ていってもらう」・・「こういう受験生は受け入れられない」と公言してしまうのです(p159)
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
プロローグ これからの時代、「話し方」は生き抜くための武器になる
1章 土台としての信頼関係を築く3原則
2章 聞き手の心を動かす3つのコツ
3章 納得して行動してもらう5つのコツ
4章 ファンを広げる3つの戦術
5章 ファンが離れていく13のタイプ
著者経歴
犬塚壮志 (いぬつか まさし)・・・教育コンテンツ・プロデューサー/株式会社士教育代表取締役。福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事し、業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に25歳の若さで合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼となり、キャンセル待ちがでるほどの大盛況ぶり。その講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる
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