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「フォース・ターニング 第四の節目」ウィリアム・ストラウス, ニール・ハウ

2020/04/06公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 歴史を振り返ると、世の中は20年ごとのサイクル(高揚、覚醒、分解、危機)で動いていると主張する一冊です。「フォース・ターニング」とは 第四(Fourth)の節目(Turning)。つまりサイクルの4番目「危機」で、それは2005-2025年になるという。経済学者コンドラチェフは、景気循環は50年程度の周期になると分析していますが、この本では戦争や経済危機が80年サイクルで発生すると分析しているのです。


・英国系米国人のサエクルム(時代)・・・
 (1781)アメリカ独立戦争(1773-1794)
 (1863)南北戦争(1860-1865)
 (1944)大恐慌と第二次世界大戦(1929-1946)
 (2025?)2000年代危機?(2005-2026)(p98)


 2020年の現在は、サイクルの4番目「危機」であり、経済的恐慌、パニック、インフレ、戦争、ブロック経済などの統制が行われるという。2007年のリーマンショック、2014年のロシアのクリミア併合、中東シリアでの戦火、米中経済戦争などを見ると、まさに当たっているような気がします。そして2025年にピークになるというサイクル「危機」の最後は、必ず世界戦争になっているという。「危機」は現状の仕組みを破壊し、次の時代を作るのです。


・15世紀以降の第四の節目(ターニング)は、最後はすべてが全面戦争につながっている・・日本が真珠湾を攻撃しなかったとしても、合衆国はなにか他の挑発に目をつけて、枢軸国に全面戦争を布告していただろう(p224)


 注目すべきは、この本が1997年に執筆されているということでしょう。つまり、この本は第三の節目である「分解」の中で書かれたものであり、「分解」のサイクルの特徴である、自由経済主義、ITベンチャーやハイリスク投資のバブル経済の中で、次の第四の節目(ターニング)「危機」を予言しているのです。それは2000年代半ば頃になるのです。2005年の前後に突然の変化が起こることによって、危機のムードが始まり、アメリカは2025年までの時点で歴史の大きな転換点を迎え世界大戦の勃発と同じくらいのインパクトを持つものになると予想しているのです。


 80年サイクルが正しいか正しくないかよりも、世の中は山あり谷あり、上がれば下がる、下がれば上がるということです。明けない夜はない。頑張りましょう。ストラウスさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ウィリアム・トンプソンの計算では「戦争と戦争の間の平均期間」はほぼ80年だという・・・モデルスキーとフェラーは、それぞれ2030年を次の大戦争、または世界大戦の震源時になりそうだと見積もっている(p100)


・現在から過去に遡ってみよう。真珠湾攻撃とサムター要塞の戦いの間に、80年の月日が経っている。これはサムター要塞の戦いと独立宣言の間と、完全に同じ期間である。ゲティスバークまでの二年を加えると、リンカーン大統領の有名な「87年前に」という計算に達することになる。そこからさらに遡ると、87年間とは、独立戦争と名誉革命の絶頂期の間の期間である(p86)


・子供の世代が成人すると、その年長世代が老年期に到達して、若き成人の世界を取り巻く仕組みを支配するようになる。若い世代が軍務につく年齢になると、人生の循環において対極にある影の世代が、戦線布告のために持つ権力が最大になる(p153)



ウィリアム・ストラウス, ニール・ハウ、ビジネス社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1章 冬は再びやってくる
第2章 歴史の季節
第3章 人生の季節
第4章 歴史の循環
第5章 老年の守護者
第6章 第四の節目の予言
第7章 第四の節目に備えて
第8章 永劫回帰



著者経歴

 ウィリアム・ストラウス(William Strauss)・・・世代に関する問題について執筆や講演を頻繁に行い、キャピトル・ステップスという政治フォーラムを主催。ワシントンDC地域に在住。2007年に60歳で逝去


 ニール・ハウ(Neil Howe)・・・世代に関する問題について執筆や講演を頻繁に行っている。歴史・経済学者であり、コンコード連合の上級顧問を務める。ワシントンDC地域に在住


 奥山真司・・・1972年生まれ、横浜市出身。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。英国レディング大学大学院で修士号(MA)と博士号(PhD)を取得。戦略学博士。国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学国際政治経済学部非常勤講師


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