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「教養の書」戸田山 和久

(2020年4月 7日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★★★(91点)


内容と感想

■大学の教養部哲学講師から
 教授となった著者が教える
 「教養」です。


 1990年代には大学の教養部の多くが
 廃止されショックだったようですが
 そもそも「教養」とは何なのか。


 例えば欧米エリートと話をするとき、
 シェイクスピアは読んでおいたほうが
 良い。なぜなら、読んでいる前提で
 会話が進むからです。


 同じように聖書の内容、
 キリスト教・ローマの歴史も
 知っていたほうがいい。


 これは日本人として仏教の内容、
 日本の歴史、歌舞伎や狂言、
 落語を理解し、外国人に
 説明できるのかどうか、と
 同じ問題なのです。


・シェイクスピアの戯曲やジェーン・オースティンの小説は古典中の古典。「ライオン・キング」はハムレット、黒澤明の「乱」はリア王、「蜘蛛巣城」はマクベスをそれぞれ下書きにして作られている(p46)


■面白いのは、知識があると楽しめる
 映画や書籍を,多数紹介してくれる
 ところでしょう。


 『ひょっこりひょうたん島』は
 井上ひさしが原作。
 『ダイ・ハード3』に出てくる
 サマリア人は、聖書の
 「よきサマリア人のたとえ話」。


 現代の映画は、何も知らなくても
 楽しめるものとなっていますが、
 知識がある人ならもっと楽しめる
 ように作られているのです。


・『ひょっこりひょうたん島』・・・ミュージカル仕立ての人形劇である・・・このシリーズで、テーマソングを除きおそらく最も歌われたのではないかと思う曲が「勉強なさい」だ・・・勉強なさい、勉強なさい 大人は子どもに 命令するよ 勉強なさい 偉くなるためにお金持ちになるために あ~あ あ~あ そんなの聞き飽きた いいえ 賢くなるためよ 男らしい男 女らしい女 人間らしい人間 そうよ 人間になるために さあ 勉強なさい(p102)


■試験勉強は面白くないけれど、
 勉強するとこんなにも映画を
 楽しめるとは!
 これが「教養」なのですね。


 ここまで「教養」というものを
 深く書いた本を初めて読みました。


 もう一度、この本を参考に
 映画や書籍を読んでみたいと
 思います。


 この本は「読書のすすめ」の清水さんから
 紹介していただいた本ですので、
 ぜひ「読書のすすめ」で購入してください。


 戸田山さん、
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・仏英合作映画「華氏451」・・よく言われることだが、読書は過去の人々(=死者たち)との対話である。こうして、モンターグ(主人公)は「縦につながる」人になる(p88)


・教養ある人は読書を通じて縦につながる。この「縦につながる」にはもう一つの意味がある。人類の文化遺産を継承するリレーの担い手になるという意味だ・・・「本を読む」という行為・習慣と、それを楽しむ人々の存在も継承される必要がある(p93)


・プラトンの対話篇『国家』に出てくる「洞窟の比喩」・・・縛られている人々は後ろを振り返ることができないので、運ばれてくる実物は見えない。火の光が眼前にある洞窟の壁に投げかける影だけが見える・・影のパターンだけが世界のすべてで、それこそが世界のホントの姿だ、オレは世界がどんなかを知っていると思い込む(p134)


・『創られた伝統』・・伝統というといかにも古くから受け継がれていると思われがちだが・・・人工的に創られたものにすぎない・・・桜が日本を代表する「国の花」として認識されるようになったのは日清戦争の頃からだとか。正座が作法にかなった唯一の正しい座り方とされるようになったのは昭和になってからだとか(p211)


・「江戸しぐさ」は、芝三光という、企業コンサルタントのような仕事をしていた人が、1960年代に社員研修のために生み出した「創作」なのである(p399)


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▼引用は下記の書籍からです。

戸田山 和久、筑摩書房


【私の評価】★★★★★(91点)


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目次

1 教養ってなんだ
第1章 キミが大学で学ぶことの人類にとっての意味
第2章 たかが知識、されど知識
第3章 知識のイヤミったらしさとどうつきあうかについて、そして「豊かな知識」に何の意味があるのかについて
第4章 教養イコール「知識プラスアルファ」のアルファって何じゃ、と考えてみる
第5章 「読書の意義は何だろう」ということを教養の観点から考え直してみる
第6章 われわれは何に向かってわれわれを教養するのか
第7章 教養とは何かの定義を完成させるぜ!

2 教養の敵は何か、それとどう戦うべきか――現代イドラ論
第8章 教養への道は果てしなく遠い。だのになぜ歯をくいしばりキミは行くのか
第9章 教養への道は穴ぼこだらけ
第10章 科学が発展したら、人間はかなりアホだということがわかってしまったという皮肉
第11章 ベーコンの後継者は誰か。彼らからわれわれが学ぶべきことは何か
第12章 どうやって、居心地のいい洞窟から抜け出すか
第13章 批判的思考(クリティカル・シンキング)って流行ってるよね。でも、何のためにそれが必要なんだろう
第14章 最後のイドラは「学問」だって。だったらどうすりゃいい?

3 教養への道の歩き方――お勉強の実践スキル
第15章 大学に入っても、大人になっても語彙を増やすべし
第16章 歴史的センスの磨き方
第17章 種族のイドラと洞窟のイドラに抵抗するための具体策
第18章 市場のイドラを再考する――インターネットとの部分的つきあい方
第19章 劇場のイドラに抗うための「リサーチ・リテラシー」
第20章 論理的思考は大切だと言うけれど、論理的思考って何かを誰も教えてくれない......
第21章 ライティングの秘訣
第22章 ツッコミの作法
第23章 大学は天国じゃないんだ。かといって地獄でもない
第24章 無駄な勉強をしたくないひと、何かの手段として学ぶひとはうまく学べない


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