「脳には妙なクセがある」池谷 裕二
2019/11/19公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
■東京大学・大学院教授(現在)が
最新のヒトの脳科学の知見を
まとめた一冊です。
大学の先生だけあって
研究者の実験結果から推察される
ヒトの特性を教えてくれます。
例えば、劣等感や嫉妬は、
「不安」に近い動物的な感情であり
根源的な感情らしいのです。
ヒトの脳には不安、劣等感、嫉妬
という感情が組み込まれており、
私たちはこうした感情と
付き合っていかなくては
ならないのでしょう。
・脳の活動データは、不安と劣等感は、じつは、共通した動物的な情動であることをほのめかしている(p32)
■また、不安な人よりは
根拠のない自信を持った人のほうが
集団の中では有利になるという
実験の結果もあります。
確かに弱気な社長やリーダーは
あまり見かけません。
ただし、リーダーが正論にこだわると
組織が分裂・崩壊してしまうことが
あるようなので、リーダーは組織内の
意見調整にも配慮が必要とのことです。
リーダーは理で判断し、
対応には情を添えて配慮することが
大事なのでしょう。
・自己の能力を誤って高く評価する人は、競合においてしばしば有利に働き、結果として集団のなかで優位になっていく・・戦わずして勝利はない・・・たしかに、「いつも自信がありません」という弱気な社長はあまり見かけません(p38)
■多くの項目を紹介していますので
興味のあるところから
読んでいっても大丈夫です。
項目一つひとつについて
なにかに利用できないかな
と思いながら読むと面白いと
思います。
池谷さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ミュンテ博士らは、笑顔に似た表情をつくると、ドーパミン系の神経活動が変化することを見出しています・・笑顔を作ると楽しくなるという逆因果が、私たちの脳にはあることがわかります(p131)
・栄養サプリメントを飲むと、プラセボに比べて、暴力行為が約35%減ることがわかりました・・ゲシュ博士らは「薬のように特定の化合物成分ではなく、栄養素の全体のバランスが重要だろう」と論文に著しています(p203)
・自己矛盾を回避する心理・・面白くない単調な作業をさせて、その後に「楽しかった」と言ってもらう・・片方には20ドルを、もう一方には1ドルを支払います。その後、作業がどれほど面白かったかというアンケートをとりました・・1ドルのほうが面白いと感じたのです(p86)
・ミツバチや魚や鳥の一部では、「正しい知識を持ったリーダー」が少数いることが知られており、こうした優等個体が集団を牽引する・・そもそもメンバーたちは「誰が正しい知識を持つか」を、どうして識別できるのでしょうか(p217)
・知識層のメンバーが正解にあまりに固執すると、集団は分裂崩壊してしまうことが示されました。リーダーは確固たる意図をあえて明示せずに、一見曖昧な行動をしたほうが、結果として、集団を正しい方向に導くことができるようです(p217)
・私たちの脳は、情報を何度も入れ込む(学習する)よりも、その情報を何度も使ってみる(想起する)ことで、長期間安定して情報を保存することができる・・・参考書を繰り返し丁寧に読むより、問題集を繰り返しやるほうが、効果的な学習が期待できる(p163)
・ML(集中学習)とDL(分散学習)は瞬間到達点という点ではあまり差がないのですが、ML(集中学習)では忘れる速度がDL(分散学習)よりも速いのです(p282)
・「睡眠の効果を最大限に利用するためには、起床後の朝ではなく、睡眠時間前の夜に習得したほうがよい」・・実際は私は、就寝前の1~2時間は仕事に充てるよう、普段から気をつけています(p280)
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
(1)脳は妙にIQに左右される
(2)脳は妙に自分が好き
(3)脳は妙に信用する
(4)脳は妙に運まかせ
(5)脳は妙に知ったかぶる
(6)脳は妙にブランドにこだわる
(8)脳は妙に恋し愛する
(9)脳は妙にゲームにはまる
(10)脳は妙に人目を気にする
(11)脳は妙に笑顔を作る
(12)脳は妙にフェロモンに惹ひかれる
(13)脳は妙に勉強法にこだわる
(14)脳は妙に赤色に魅了される
(15)脳は妙に聞き分けがよい
(16)脳は妙に幸せになる
(17)脳は妙に酒が好き
(18)脳は妙に食にこだわる
(19)脳は妙に議論好き
(20)脳は妙におしゃべり
(21)脳は妙に直感する
(22)脳は妙に不自由が心地よい
(23)脳は妙に眠たがる
(24)脳は妙にオカルトする
(25)脳は妙に瞑想めいそうする
(26)脳は妙に使い回す
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
コメントする