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「警視庁捜査二課」萩生田 勝

2019/11/18公開 更新
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警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)

【私の評価】★★★★☆(85点)


■贈収賄事件、オレオレ詐欺の
 捜査を行っているのが
 警視庁本部捜査二課です。


 警視庁の優秀な刑事が本部に集まり、
 俺が大きいホシをとってやると
 競争しているのです。


 著者は、捜査二課で
 「外務省内閣官房報償費流用事件」
 「農林水産省汚職事件」
 を主導しています。


・捜査二課に異動になったのは1980(昭和55)年・・当時の捜査二課は、今よりもはるかに多くの贈収賄事件を検挙していました・・全員が腕に覚えのある刑事ばかりです。「よーし、俺がネタをとってやる。俺が絶対に落としてやる。その次も俺がやってやる」と、誰もが考えているのです(p92)


■面白いのは警察という組織の
 雰囲気が伝わってくることでしょう。


 完全黙秘だと無罪となるので
 朝から晩まで取り調べて
 自白させること。


 収賄事件では被疑者の自供がないと
 逮捕状が取れないので
 任意で呼び出し取り調べできないと
 何も進まないこと。


 警視庁と東京地検特捜部とで
 手柄を自分のものとするために
 対立することもあること。


・この寺崎は、それまでに逮捕されたことはあってもすべて完全黙秘で有罪になっていませんでした・・朝から晩まで調べても、一言も口をききませんでした。名前を呼んでも返事すらしません。その泥棒根性は、逆にアッパレと言ってやりたくなるほどでした(p56)


■刑事自信も事件の捜査がはじまれば、
 落ち着くまで家に帰れないという。


 そもそも警視庁ではタクシーチケットは
 配布されないので、近くのホテルに
 泊まるしかないからです。


 今はオレオレ詐欺を中心に
 捜査しているそうです。
 頑張っていただきたいですね。


 萩生田さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・警視庁本部の捜査二課には400名弱の腕利きの捜査員がおり、贈収賄や経済事件などの捜査に当たっていますが、現在、最も多くの人員が充てられているのがこの振り込め詐欺の捜査なのです(p3)


・ホシはどんなに絶望的な状況に追い込まれても、必ず逃げようとするのです・・・特に危険なのが、強姦と泥棒とシャブの犯人です(p67)


・「明日、全部話します」と言われたホシや関係者に、その夜に自殺されるケースが多いのです。ホシに飛ばれたことも何度もあります・・この「たった一日」が勝負の決め手です(p124)


・被疑者の自供がないと逮捕状が取れない贈収賄事件では、任意の呼び出しが成功するか否かが最初の勝負の分かれ目になります(p259)


・実際、賄賂と貰ったことが発覚して辞めていく刑事は、みんな一流の刑事なんです。情報を取るために相手に近づく。キレ者の刑事であればあるほど、籠絡しようと相手はあの手この手で攻めてくる。そのせめぎ合いの中で、カネの魅力に負けてしまう瞬間が出てきます(p138)


・情報収集というのは一歩間違えば"命取り"になりかねないのです。いい情報を取りながらもクビになっていった先輩を数え切れないくらい見てきました(p205)


・タクシー・・・われわれはすべて自腹です・・だから警視庁の人間は、よほどのことがない限り、深夜にタクシーで帰宅しようとは思わないのです(p318)


・私と女房の間には、一男一女が生まれましたが、長い刑事生活の中で子供を風呂に入れてやった記憶はほとんどありません。運動会や授業参観に顔を出したこともありません・・捜査が始まると二カ月も三カ月も、あるいは半年も帰宅できなくなるのです(p348)


警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)
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萩生田 勝
講談社
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【私の評価】★★★★☆(85点)

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■目次

第一章 泥棒刑事
第二章 知能犯第二係「ナンバー知能」
第三章 赤坂警察署汚職事件
第四章 総会屋、企業ゴロとの対峙
第五章 夜の銀座がつなぐ金と裏人脈
第六章 農林水産省汚職
第七章 外務省内閣官房報償費流用事件
終 章


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