【書評】「「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方」松本利明
2019/06/10公開 更新

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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
育成対象とそれ以外を区別する
人事コンサルタントとして自分のキャリアをどう考えれば良いのか、教えてくれる一冊です。まず、会社の人事の仕組みや、人事の担当者が何を考えているのか知ることが、スタートとなります。
人事では上位10%程度を育成対象として戦略的にジョブローテーションを行います。他の人は玉突き人事となります。育成対象以外は、引き抜きが当たり前の時代ですから、ライバル企業に引き抜かれない程度の待遇を準備しましょう。
特に育成対象のエリートは子会社に出向させて、経営課題を解決させることで経営感覚を高める訓練をすることを推奨しています。
会社で必要とされて選抜される者は「全体の5%」程度です。その候補を入れても約10%。計15%の人材のみ、戦略的にジョブローテーションやアサインをして「育成する対象」になる(p11)
「ありがとう」を集める
そうした会社の中で自分の特徴を出す方法は、優秀さを磨くというよりも「ありがとう」を集めることらしいのです。
つまり、営業なら趣味の人脈を持っている。研究職なら特許に詳しくなり、仲間に助言する。仕事プラスアルファのところで周囲の人の「ありがとう」をもらえる立場になると、優秀な人材として見られるようになるのです。
仮に仕事で失敗してしまったとしても、この危機をリードして乗り切りましょう。失敗は、逆に大きなチャンスなのです。失敗は永遠に続きません。一生の中ではほんの一瞬であり、自分を責めても意味がありません。「どうすれば解決する」かだけを考え、自分を育てるのです。
外資系生命保険会社で日本トップを毎年とる営業・・営業するよりパーティの企画、運営の主催をして周りを楽しませている人が圧倒的に多い(p49)
自分の得意なジャンルに集中
また、うまくいっている人は、自分の得意なジャンルの仕事に集中しているという。つまり、事業が「導入」「成功」「安定」「衰退・再展開」のライフサイクルのどのフェーズに自分にあっているかを知り、そこに異動や転職をするのです。
仮に新規事業立ち上げが得意なら、新規事業の職場を転々としたり、安定事業のコスト削減が得意なら、そうした仕事のある職場に移るのです。
人事やキャリアの考え方がよくわかりました。松本さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自分の欠点やコンプレックスを書き出し、いい意味で書き換えてみましょう・・・「苦手なことを書き出す」・・・・新規開拓が苦手→リピートが得意(p140)
・導入期の人材が、子会社等で新規ビジネスを立ち上げることは美味しい・・・大企業は根回しさえすれば、数億円以上の大きな予算を平社員でも動かすことができます(p108)
・「大人の自己紹介」・・・
・過去:価値を提供できる根拠となる役割や実績・・
・現在:今どんな仕事をしているか・・
・未来・・相手にどんな価値を提供できるか(p166)
・就活時・・ピッタリのエピソードがなければ・・・今から作ればいいのです(p186)
・転職先を見切る・・・それだけ条件がいいのに、なぜ、人を募集しているのか。何か裏の理由がないか探っておいた方が安全です(p238)
▼引用は下記の書籍からです。
KADOKAWA (2019-04-27)
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【私の評価】★★★★★(91点)
目次
1章 「日本の転職」の前提が全て変わってしまった
2章 自分軸にあった市場を見極める
3章 自分軸で売れるキャラを確立する
4章 自分軸で市場価値をつくれるようになる
5章 自分軸で強くなる――転職しない時にやり続けること
6章 永久保存版 自分軸で活躍する判断基準を身に付ける
著者経歴
松本利明(まつもと としあき)・・・HRストラテジー代表。HR総研 客員研究員。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手コンサルティング会社のプリンシパル(部長級)を経て現職。世界や日本を代表する大企業からスタートアップ企業まで、600社以上の人事改革に従事。5万人のリストラと7,000名を超えるリーダーの選抜と育成を行ってきた。最近は企業向けのコンサルティングに加え、「誰もが自分らしく活躍する世の中」に近づけるため、自分の持ち味を活かしたキャリアの組み立て方を学生、ワーキングマザー、若手からベテランまでのビジネスパーソンに教えている。
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