「原油暴落の謎を解く」岩瀬 昇

| コメント(0) |

原油暴落の謎を解く (文春新書)

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■また、石油や石炭の価格が
 上ってきていますね。


 エネルギーの価格はどうやって
 決まるのか?というのが
 気になって手にした一冊です。


 結論から言えば、
 エネルギーの価格は
 市場で決まるのです。


・NYMEXのWTI原油もICEのブレント原油も、
 単純な先物商品だけでもそれぞれ
 10憶ばれる程度の量が取引されている・・
 それぞれ世界全体の原油生産量の
 10倍以上の取引量になる・・
 これはもはや、少数の参加者が悪意をもって
 マーケットを動かせる取引量ではない(p123)


■もっとも勉強になったのは、
 シェール革命をどう見るか、
 という点です。


 シェールオイルは、
 在来型の石油よりはコストが高く、
 すぐに生産できて、
 すぐに生産できなくなるという
 性質を持っています。


 つまり、石油の価格が高くなれば、
 すぐに生産して利益を回収して、
 石油の価格が低くなれば
 すぐに生産を止めることができるという
 機動性を持っているのです。


 市場の価格を安定化する
 性質を持っていると言えるのでしょう。


・シェール革命の何が「革命」だったのか・・・・
 石油開発に製造業のような性格を持ち込んだ・・・
 投資決断から生産開始までの期間が短く、
 また生産期間も短い・・・シェールは外部の
 資金調達に頼るビジネスモデルになっており、
 金融市場のボラティリティ(価格変動の度合い)の
 影響をもろに受けるようになっている(p171)


■シェールオイル・ガスによって、
 アメリカがエネルギー輸入国から
 輸出国になりました。


 こちらの影響が大きいのでは
 ないでしょうか。


 岩瀬さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・1980年代半ば以来、長らく低迷していた
 原油価格が急上昇を始めたのは、
 2000年代に入って中国が資源を「爆買い」
 し始めてからだ。正確に言えば、
 石油をはじめ鉄鉱石や銅鉱石、レアメタルなど
 資源の買収に乗り出してきたのだ(p18)


・歴史を変えた多くの「大油田発見」が、
 ほとんど資金ショートぎりぎりで掘り当てられた
 という歴史的事実は、偶然とはいえ、
 石油開発という事業がそれだけロングスパンで
 投機性に満ちているということの
 象徴ではなかろうか(p65)


・石油会社の企業価値評価で大事なものは、
 保有埋蔵量である・・
 何もせずに生産だけを継続し、
 保有埋蔵量を減らすことは、
 当該期の決算にはいい影響を与えるが、
 その石油会社には「未来」がない・・(p103)


・1986年のいわゆる「逆オイルショック」以来、
 現在に至るまで、石油価格を決めているのは
 OPECでもセブンシスターズでもなく、
 「市場」なのである(p121)


・産油国が長期契約で販売する原油は、
 サウジ原油以外でも多くがこの
 「フォーミュラ価格」方式になっている・・・
 使用する指標原油は異なるが、
 販売価格は市場価格の変動にリンクしたものに
 なっているのである(p137)


・2014年末からの価格暴落の中で、
 中国勢による価格操作の疑いが報じられている・・・
 たとえば2015年8月には、市場で販売されている
 ドバイ原油の90%が中国の国有石油会社CNPC
 傘下のチャイナ・オイルにより買い上げられた・・・
 さらにチャイナ・オイルは、2014年1月からの
 25ヵ月間のうち10ヵ月も、市場で手に入るド
 バイ原油の半分を買い占めている・・
 この25ヶ月のうち7ヵ月間は、中国の別の
 国有石油企業であるSinopecの傘下の会社が、
 ドバイ原油の半分以上を売っていたというのだ。
 中国勢が売って、中国勢が買うなんていうことが
 あるのだろうか(p161)


・住友商事がアメリカのシェール事業で失敗し、
 巨額の損失見込みを発表・・・
 試掘井1本ごとに失敗した掘削作業にかかった費用を、
 即、損金処理すべきであった。ところが住友商事は・・・
 在来型の石油開発と同様に、将来、生産したら
 回収できる費用の一部だと認識して資産勘定に計上し、
 プロジェクト全体の損切り水準にまで溜まってしまった。
 これが実態ではないだろうか(p188)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


原油暴落の謎を解く (文春新書)
岩瀬 昇
文藝春秋
売り上げランキング: 237,694

【私の評価】★★★☆☆(75点)

[Amazonで購入する]

[楽天ブックスで購入する]



■目次

第一章 原油大暴落の真相
第二章 今回が初めてではない
第三章 石油価格は誰が決めているか
第四章 石油の時代は終わるのか?
第五章 原油価格はどうなる?



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)