「体験的本多勝一論―本多ルポルタージュ破産の証明」殿岡 昭郎
2018/01/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
■ベトナム戦争当時、本多勝一氏は
ベトコン村のルポルタージュ『戦場の村』を書き、
世論をベトコン側に有利に導きました。
著者は報道の自由のないベトコン側の言うことを
そのまま記事にしてしまう本多勝一氏の
報道姿勢を批判します。
特に、ベトナムで共産主義の仏教弾圧に
抗議する12人の僧が集団焼身自殺した事件
(現在のチベットのようですね)を
単なる性的なスキャンダルのように書いていた
ことを批判しました。
なぜなら、ベトナム共産党が
仏教を弾圧していることは明らかであり、
裏を取ればすぐにわかることだったからです。
しかし、本多氏と朝日新聞は、
著者を民事提訴したのです。
・『中国の旅』はひどい本である。
第一に方法論的に、つまり報道と取材の
自由のない中国で、中国側の言いなりに
記事を書いているからである・・(p34)
■面白いところは、朝日新聞側の弁護士が、
全員共産党系の弁護士であったということです。
また、取材したことをそのまま書いているのであって
裏は取っていないということ。
朝日新聞記者らしい取材方法なのです。
著者は朝日新聞によって
20年もの歳月を裁判に取られました。
朝日新聞らしい反対者つぶしだと思いました。
殿岡さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・朝日新聞記者だった本多勝一氏と対決することになって、
人生の四分の一にも当たる時間を費やして裁判を闘った。
そして、地裁、高裁、最高裁と三連勝した・・(p4)
・本多氏が「ベトナム民衆の立場」として期待した
南ベトナム民族解放戦線は、国際世論と国内世論を
欺く「おとり」としての役目を終え、北ベトナム
共産主義者によって解体され、吸収され、
跡形もなくなっていったからである。
第三勢力論は、共産主義者が演出し、コントロールし、
たとえば本多氏やラクチュールやジョン・バエズのような、
あるいは小田実氏と「べ平連」に集まった、
本格的左翼ではない"政治的にナイーブな"
大衆民主主義者によって拡大、宣伝されて、
世界中に蔓延した(p29)
・十人の弁護士の氏名と所属・・
全て共産党系の弁護士である(p103)
・本多氏側・・証人申請・・
当時、朝日新聞社社史編集顧問の秦正流氏、
『朝日ジャーナル』編集長の筑紫哲也氏、
創価大学教授の新井直之氏、
著述業の加納大こと藤田計成氏、
東京大学教授の奥平康弘氏であった。・・
法廷に圧力を加え、世論を盛り上げようとの
思惑があったのだろう(p121)
・本多氏は『事実とは何か』(朝日文庫版)の中で・・
『事実』だけで記事にするのは、それが目的ではなく、
手段として最も有効だからである。主張やいわゆる
主観を加えると、説得力が弱くなるからにすぎない。
目的は、やはり説得・主張にある」とも書いている(p130)
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
■目次
本多勝一氏はどんな左翼だろうか
第1部 裁判提起まで
第2部 裁判始まる
第3部 証人尋問
第4部 録音テープをめぐる攻防
第5部 判決下る