【書評】「仕事に役立つ統計学の教え」斎藤広達
2017/06/23公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
データで提案する
仕事を数字で考えると、事実を冷静に考えることができると教えてくれる一冊です。
著者はコピー機の営業マンだったとき、担当エリアの事業所のコピー機のメーカーとリース料、契約期間、1日のコピー枚数を調べ、更新期が来た事務所を訪問し『この機会にコピー機を変えると、こんなに節約できます』と提案して、契約を取っていたという。
また、商談成功率を上げるなら、アポ取りの確率、提案を聞いてもらう確率、そして契約してもらう確率を高めることです。著者は成績優秀な営業マンのやり方を参考にしたり、本で成功事例を読んで、改善していったという。
データがあれば、試行錯誤を数字で把握し、改善していくことができるのです。
訪問成功率(80%)×提案成功率(80%)×クロージング成功率(80%)=商談成約率51.2%
仮説をテストする
改善にあたっては、すべてが仮説であるという視点が大切です。つまり、成功した方法とは、他の会社でうまくいった方法であり、必ずしもうまくいくとは限らないのです。仮説であるから、テストをしてみて効果を測定することが大事になります。
大塚家具のように会社の方針で対立があるとすれば、小さくテストをしてみれば、どちらが良いのかわかるはずなのです。テストせずに大改革をすれば、大失敗する確率が高いというわけです。
巷にあふれる営業の成功法則は、あくまで仮説。過去に誰かが成功した、という事実があるだけです(p190)
大企業はいろいろ、中小企業は1点集中
著者の主張は、100%正しい理論は存在しないので、行動を起こす原動力になる「信じられる仮説」が見つかれば、それをテストするということです。数字で考えると、冷静に次の一歩を踏み出せるのだと思いました。
絶対正しいということがないとすれば、まずは小さくやってみること。大企業はいろいろやってみる。中小企業は1点集中で戦う。そうした戦略にも統計学の理論があるとわかりました。斎藤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・最初から高い値段をふっかけておいて、後から大幅な値引きを演出して相手の満足感を引き出すのは、詐欺的な商売です(p152)
・PAC思考は議論の基本手法です・・PはPremise(前提)の略。ある事実のことです・・CはConclusion(結論)、つまりは主張のことです・・このPとCをつなげるのがAです。AはAssumption、仮定条件です(p179)
・過去の経験は、意外と役立つものです。遠回りしたつもりが、実はそこで大切なスキルが身についていた、なんてこともあります。ある企業で成功しなくても落ち込むことはありません。失敗経験という、貴重なリソースを得たと考えればよいのです(p206)
・お客さんに何かを進言するときは、「店舗のオペレーションがひどいですね」と言うより「A店では店員さんがキビキビ動いていて、お店の中もキレイでしたよ」とソフトに言った方が、相手も受け入れやすいはず(p48)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
chapter1 営業活動の標準確率モデル
chapter2 売れる確率、好かれる確率
chapter3 ビジネスを進化させる統計技法
chapter4 数字のマジック、伝え方のマジック
chapter5 成功確率を高めるテクニック
chapter6 どの業界で働くべきか? 産業統計の読み方
著者経歴
斎藤広達(さいとう こうたつ)・・・1968年生まれ。慶應義塾大学を卒業後、外資系石油会社に入社し、主にマーケティング関連の業務に従事。シカゴ大学経営大学院修士(MBA)取得後、ボストン・コンサルティング・グループ、シティバンク、ローランドベルガーなどを経て、現在はシカゴコンサルティング代表取締役。主として企業再生コンサルティングを手がけている。
統計関連書籍
「統計数字を疑う~なぜ実感とズレるのか?」門倉 貴史
「仕事に役立つ統計学の教え」 斎藤広達
「統計学が最強の学問である」西内 啓
「マーケティングのための因果推論」漆畑 充、五百井 亮
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