「自分の小さな「箱」から脱出する方法」アービンジャーインスティチュート
2015/12/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
箱とは相手を色眼鏡で見ること
箱とは、相手を「いつも口が悪いやつ」「いつも失敗するやつ」と色眼鏡で見るフィルターのようなものです。このフィルターは、"自分は正しい"という前提によって作られます。
新入社員が仕事ができないとき、自分の指導方法が悪いと誰も考えません。自分がせっかく指導しているのに、なんで覚えられないんだ!と考えてしまうのです。これが思い込みというか、「箱」なのです。
箱の中にいたわたしが何よりも求めていたのは、自分が正当化されることだったの・・・自分が正しかったと感じるために、何が必要になる?・・相手が間違っていなくてはなりません(p200)
箱の中にいると人は相手を責める
多くの人は自己防衛のために、簡単に箱に入りますので、組織の中では対立が起きるのです。営業部門と製造部門で非難の応酬になるのは、当然のことなのです。営業部門にも製造部門にも悪いところはあるはずで、それを認めては自分の立場が非常に不安定になるので、人は相手を責めるのです。
自分を正当化しなければ、自分が不利になります。不安だからこそ、人は「箱」の中に入って、相手が悪い、環境が悪いと言い続けるのです。
箱の中にいる人間が、どれほど不安定な状態で暮らしているか・・なんとしても自分を正当化しなくてはならない・・(p238)
箱の中にいると人は相手を責める
その一方で、一部の人は箱に入らず、自己反省をする人もいるでしょう。そうした人は、箱に入った多くの人から集中攻撃を受けてしまうのです。箱に入っている人からすれば、「自分が悪いとすべて自分の責任のような顔をしている人」を見ると、イライラするのです。
なぜなら、それを認めてしまうと、自分も悪いと考えることになってしまうからです。これが「いじめ」の構造です。いったん箱に入ってしまうと、相手をダメな奴だと責めている自分を正当化するためにも、実際に相手がダメな奴であってくれなくては困るのです。
こうした人間の悲しい心の動きを分析するには、「箱」というのは面白い考え方だと思いました。良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・箱の外に出たいと思った瞬間には、すでに相手を人として見ているわけだから、箱の外にいることになるんですね(p207)
・箱の外側にあるものに抵抗するのをやめた瞬間、つまり相手に逆らうのをやめた瞬間に、自分が変わりはじめるんだ(p227)
・人間は、相手が自分をどう思っているのかを感じることができる、これがポイントなんだ(p50)
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1部 「箱」という名の自己欺瞞の世界
第2部 人はどのようにして箱に入るか
第3部 箱からどのようにして出るか
著者経歴
アービンジャー・インスティチュート (The Arbinger Institute)・・・・・・アメリカ・ユタ州に拠点を置く研究所。哲学者T.ウォーナーが創設メンバーに加わっていたという異色の集団。現在ではビジネス、法律、経済、哲学、教育、心理学の専門家が一堂に会し、組織内にある人間関係の諸問題を解決することによって収益性を高めようという独自のマネージメント研修やコンサルティング業務を行なっている。ちなみにarbingerとは先駆けの意。
金森重樹(かなもり しげき)・・・1970年生まれ。東大法学部卒。ビジネスプロデューサー。投資顧問業・有限会社金森実業代表。物件情報の提供から、融資付け、賃貸募集の支援まで行う会員組織「通販大家さん」を運営し、会員が億単位の資産形成をするのをサポート。読者数18万人のメールマガジン、「回天の力学」の発行者として、マーケティング業界でも著名
読んでいただきありがとうございました!
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