「「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」永守 重信
2015/02/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」
永守重信という日本電産の社長が、驚異的な実績を出していると聞いて、手にした一冊です。40年で日本電産という従業員10万人以上の企業を作りあげた人の考え方は、すごいの一言でした。
まず、圧倒的にNo1にこだわる、勝ちにこだわる根性主義です。とにかくハード。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」を標語としているように、2倍仕事をして納期半分なら、どこでも仕事はとれるのでしょう。それをやり切るのが永守流で、まさにブラックといえばブラック。最近は大企業となったので、労働時間の短縮に努めているらしいですが、創業期は長時間労働を良しとしていたのです。
そして、経営者として社員に対して、「もっと働こう」と胸を張っていえる信念と自信が不可欠であり、そのためには、経営者は社員の二倍、三倍働かなくてはいけないとしています。また、従業員に対しては夜二時間遅くまで残業をしている人よりも、朝30分早く出社する人を重視するという。
・「倍と半分の法則」・・・他社が八時間働いているのなら、わが社は倍の16時間働く。・・他社の納期が二カ月かかるところなら、われわれは一ヶ月で治めることが可能になる(p156)
温情と冷酷さのバランスを取る
仕事は体育会系ブラックなのですが、人間の育て方が変わっています。「自信をつけた者は踏みつけ、自信のない者には感動を与えよ」と言うように、常にレベルの高い仕事を要求し、できなければ社長自らやってみせるという実力社長ならではの人材育成なもです。上司は温情と冷酷さを合わせ持ち、この相反する二つの感情のバランスを取ることが、人情の機微を知っていることだという。
つまり、勝ちと負け、成功と失敗、苦と楽、温情と冷酷、褒めることと叱ることというように、こうした微妙なバランスのうえに人間社会は成立しているのです。特に人を動かしていく場合には、プラスとマイナスの収支をゼロにすることで人は動くのです。「厳しさのなかにこそ、より深い愛情がある」という風に、親分肌でありながら、叱った部下には、自ら手紙を書いて、褒めちぎるという心配りも忘れていません。
落としては上げて、部下の感情を揺さぶり、その潜在能力を引っ張り出すのです。若手は1叱りつけ、9褒める。中堅は5叱りつけ、5褒める。リーダーは9叱りつけ、1褒める。人を見て、手間暇かけて、人の意識を高めることに注力しているのです。もちろん自分自らも鍛える中で、大きな愛情を持って部下の指導を行うのです。これに意気を感じた部下が期待に応えてくれるのであって、自分が投げた力以上のボールが返ってくることはないという。
・わたしが率先して手紙を書く。社員を褒めるとき、叱るとき、あるいは電話をすれば一分で済むことでも、わざわざ手紙にすることも多い。・・・かつては年に三回、・・全社員に自筆の手紙を書いて、そのなかで社員を褒めちぎった(p91)
凡人を集め育て一人前にする
採用においても、優秀な人を採用するのではなく、普通の人を教育する。凡人を集め、育て、一人前にすることが重要だという。さらには、会社を買収して、育てた人を送り込み、日本電産流の仕事術で黒字化する。これはすごいことだと思いました。日本電産の成長には、原因と結果の法則のように結果を生む原因があるのです。
部下の成長は、「眼光」と「顔光」、そして声の大きさでわかるというのですから、すごみがあります。ここまで頑張れるのには永守さんの個性なのか、それとも負けん気があるのか。もう少し永守さんを調べてみたくなりました。永守さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・人に関するかぎり「ムダ」という言葉はない。たとえ100人のうち一人でも変わってくれる可能性があるのなら、その100人全員にやれることはすべてやってみるというのが私の信念である(p223)
・ベンチャー企業が忘れてならないキーワードは、「売ってからつくる」こと。(p201)
・わが社では、大きな目標を持って果敢にチャレンジしたのであれば、たとえ結果が失敗に終わったとしても評価が下がることはないし、わたしもそんなに強く叱ったりはしない。だが、とかく見過ごされがちになる細かなこと、小さなことをないがしろにする行為に対しては徹底的に叱責するという風土を根づかせている。(p144)
・「余分な人ありきでは組織は動かない」というのは、組織のなかにたった一人でも余分な人がいると、途端に風通しが悪くなって、上司の意思や指示が部下に伝わりにくくなる。(p199)
▼引用は下記の書籍からです。
三笠書房
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
序章 「一番以外はビリと同じ」と考えろ!
1章 「人を動かすのがうまい人」のこのやり方
2章 指示の出し方―何をどう話すか
3章 叱り方、褒め方1―人を動かすこのノウハウ
4章 可能性を秘めた人間を見抜く、育てる
5章 女性、中途採用―相手によって手法を変えろ!
6章 叱り方、褒め方2―"部下"を動かすこのルール
7章 理屈で人は動かない!だから―
8章 リーダーの敵は、妥協である
9章 組織を動かす人が絶対知らなければならない「考え方」
10章 1回でダメなら、20回続けよ
著者経歴
永守重信(ながもり しげのぶ)・・・1944年京都生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。73年、28歳で従業員3名の日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。80年代から国内外で積極的なM&A戦略を展開し、精密小型から超大型までのあらゆるモータとその周辺機器を網羅する「世界No.1のモーターメーカー」に育て上げた。代表取締役会長兼社長(CEO)、代表取締役会長(CEO)を経て、2021年より代表取締役会長。2014年、世界のすぐれたモータ研究者の顕彰と研究助成を目的とした公益財団法人永守財団を設立、理事長に就任。また2018年には京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長に就任。
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