「京都大学人気講義 サイエンスの発想法――化学と生物学が融合すればアイデアがどんどん湧いてくる」上杉 志成
2015/02/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
京都大学1、2年生向けの生物学と化学を題材にアイデア力を養う講義の内容です。その内容は、著者が言うように、著者自身が受けたかった授業です。つまり、自分が若い頃に知っていれば、人生が変わっていたかもしれない考え方やモノの見方を盛り込んだものとなっているのです。
・サボりぎみだった私でさえも、京都大学でいろいろな授業を受けた。・・その知識が自分に役立つのか実感がなかった。研究をするようになって、「ああ、あのときに習ったな」と思う場面によく出くわした(p282)
実は、この本で著者が最も伝えたいことは、チームの中で個性を発揮する能力が必要ということです。つまり、チームメンバーに納得してもらう説得力が必要なのです。
それは、論理であり、プレゼンであり、根回しであり、小さな実験であったりするのです。組織の中で生きるということは、人と人とが影響を受けながら仕事をしていくわけですから、人間関係の技術が必要となるのです。
・現代において人を説得する方法は「サイエンス」です。・・・サイエンスの力は人生のいろいろな場面であなたを助けてくれるはずです(p57)
個人的には、遺伝子増幅の方法、タンパク質自動合成方法が興味深く感じました。それは私が理系だからでしょうか。上杉さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・自分で調べる意欲を育てる良い方法はないのでしょうか・・・さらに分厚い本を買ってあげましょう・・・いつしか本格的な百科事典を自分自身で調べるようになるのです(p43)
・男女の好みのかなりの部分が「遺伝子の伝達」ということに支配されています。大人になると、どうしても「遺伝子を伝達できそうな」異性とつき合って、エッチなことをしたくなります(p65)
・特定の目的を達成する場合、特定の方向だけを考えるのではなく、一旦多数・多様な選択肢を頭に描く努力や工夫をしてみるのです。その中からベストなアイデアを後から選択してみてはどうでしょう(p209)
・オレオの元となったクッキーは「ハイドロクス」と言います。見た目はオレオとまったく同じ・・・オレオは模倣品です。模倣品がオリジナル品よりも売れる・・同じようなことが製薬業界ではよくあります(p267)
・自然という「外」のものを探究するときに、その自然を理解しようとしている人間自身に眼を向けて考えてみると、ちょっぴり新しいアイデアが生まれてチャンスがつかめるかもしれません(p281)
祥伝社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1講 「嫌いなもの」でアイデアをつかもう!
第2講 サイエンス力をつけよう!
第3講 遺伝子の構造を書く
第4講 遺伝子を作る
第5講 タンパク質を作る
第6講 いろいろな物質を作るアイデア
第7講 甘いものと脂肪とアイデア
第8講 癌とウイルスを抑えるアイデア
著者経歴
上杉志成(うえすぎ もとなり)・・・京都大学教授。1967年、大阪府生まれ。1990年、京都大学薬学部卒業。京都大学化学研究所で博士号取得後、1995年から1998年まで米国ハーバード大学化学部博士研究員。米国ベイラー医科大学生化学・分子生物学部助教授、同校准教授を経て、2005年、京都大学化学研究所教授に着任。2007年10月より京都大学物質―細胞統合システム拠点教授を兼務。2013年1月より同拠点副拠点長兼務、現在に至る。
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