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「大学で何を学ぶか」永守 重信

2022/11/14公開 更新
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「大学で何を学ぶか」永守 重信


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

教員が変われば指導される学生も変わる

これまで多くの赤字企業を買収し、社員を一人もリストラせずに黒字化してきた日本電産の永守社長が、京都学園大学を買収し、大学教育の改革に乗り出しました。さらに附属の中学校と高等学校まで作り、中高大一貫教育としています。大学教育に乗り出した理由は、「これをやる!」などと目的をもった前向きな人を作るためだという。


永守さんの目指す人材とは、他人から指示されなくても自分で考え、目的を持って前向きに取り組み、嫌なこと・辛いことも気概を持って乗り越えることのできる人なのです。今の若い人に覇気がなく、夢がなく、授業で寝る学生が多いのは、育てた私たちが悪いというのです。学生が寝るのは、そもそも教員の授業がつまらないからであり、指導する教員が変われば指導される学生も変わるというのが永守流なのです。


塾に行って知識を詰め込んできた人は、誰かの言う通りに行動することには慣れている・・・上司の指示通りに仕事をこなすだけになってしまう(p34)

工学部の授業はすべて英語

学生に求めるのは「専門性」「英語力」「雑談力」「ディベート力」です。では学生に対し、私たちは何を提供すればよいのでしょうか。専門性については、学生をモーター工場で研究させる、経営学部の学生に株主総会を見学させるなどの実地教育を行っています。


英語力については、現在、工学部の授業はすべて英語で行っています。また、外国人留学生を増やすため国際コースを設置する予定という。日常的に英語を使わなくてはならない環境が英語力を鍛えるのです。雑談力、ディベート力については、教員が教えるだけでなく学生にも話させるワークを組み込むなどしています。


留学生の多い環境は、日本の学生の英語力や人間力を高めると考えている(p50)

苦難をチャンスにする

この本を読んで感じたのは、永守社長は苦難をチャンスにする人であるということです。家が貧乏だったから、社長になろうと思った。株式投資で失敗したから、堅実経営を学んだ。自分を卑下する教師がいたから、勉強に打ち込んだ。何も買ってくれない兄夫婦がいたから、自分でお金儲けをしようと考えたというのです。


儲けたいから日本電産を創業した日には、京都の自宅で、みかん箱の上に立って3人の社員に対して、「精密小型モーターで、世界のトップになる」と宣言したという。小さくてもいいから「一番になる成功体験」を積み重ねていくこと、人の倍働くこと、努力だけは絶対にその人を裏切らないといった成功哲学を使って、森永社長は自分を変え、社員を変え、会社を変えてきたのだとわかりました。永守さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・自分はだめな人間だなどと考えていたら、自分の潜在能力を自分でつぶすことになってしまう。絶対に自分を卑下してはいけない(p150)


・異論を持つことが大切なのである。どんな組織でも、いろいろな意見があるから変化が生まれ、活性化するのだ(p128)


・本人のやりたいようにさせるのが一番だと思う・・・自分が選んだ道であれば後悔せずにやり直せる可能性が高い(p96)


・部下の事業計画を聞いていて、頭の中で「ひょっとしたら3億円くらい捨てることになるかもしれないな」などと思いながらやらせることがある(p210)


▼引用は、この本からです
「大学で何を学ぶか」永守 重信
永守 重信、小学館


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

第1章 なぜこのままでは世界に勝てないのか―偏差値教育とブランド主義から抜け出せ
第2章 大学をどう選ぶか―間違いだらけの大学選び
第3章 大学で何を学ぶか―世界で戦う実力を身につけよ
第4章 どうしたら社会で活躍できるのか―成功するために必要なものとは
第5章 変化の時代をどう生きるか―AI時代の生き方



著者経歴

永守重信(ながもり しげのぶ)・・・1944年京都生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。1973年、28歳で従業員3名の日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。1980年代から国内外で積極的なM&A戦略を展開し、精密小型から超大型までのあらゆるモータとその周辺機器を網羅する「世界No.1のモーターメーカー」に育て上げた。代表取締役会長兼社長(CEO)、代表取締役会長(CEO)を経て、2021年より代表取締役会長。2014年、世界のすぐれたモータ研究者の顕彰と研究助成を目的とした公益財団法人永守財団を設立、理事長に就任。また2018年には京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長に就任。ブランド主義と偏差値教育に偏った日本の大学教育の変革と、グローバルに通用する即戦力人材の輩出に情熱を燃やしている。


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