「お金は歴史で儲けなさい」加谷珪一
2015/01/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
今の日本は80~90年前そのもの
日経BP記者、投資ファンド運営会社を経て、お金についてコンサルティングしている加谷さんの一冊です。お金持ちは、歴史を学ぶことで人間の性(サガ)を学んでいるらしい。人間の性が変わらないとすれば、経済も同じような動きをすると考えられるのです。
例えば、世界恐慌(1929年)をリーマンショック(2008年)に、関東大震災(1923年)を東日本大震災(2011年)に、国債の直接引き受けを異次元の量的緩和策に置き換えれば、まさに今の日本は80~90年前の戦前そのものなのです。
通貨の量的緩和を目指しているアベノミクスは、景気は持ち直すものの、インフレとなることが予想できるのです。
インフレ対策は株式
この本では、過去の株価、物価やマネーストックの推移を見ながら、その特性を分析していきます。面白いところでは、国債バブルが崩壊したらどうなるかというところでしょう。国債バブルが崩壊するというのは、国債の信用が低下して金利が上昇するということです。そうしたときに国債に投資されていたお金はどこに行くのか。それは株式なのか、それとも不動産なのか。お金の動きが変わることで、次のバブルが始まるのです。
こうしたインフレが予想されるなか、著者のお勧めは、ある程度の基礎体力があり、グローバルに展開しているか、あるいは需要が減らない商品を扱っている企業の株を買えば、資産を防衛することは可能としています。
お金が国際的に動く時代に、私たちは生きています。戦争、インフレ、大災害、経済統制・・・。どのような事態にも「そんなはずではなかった」とは言わないようにしたいものです。加谷さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・経済成長を決定する基本要素は・・・ひとつは労働、もうひとつは資本、最後がイノベーション(技術革新)です・・人口が増加する米国は、黙っていても一定の経済成長を見込むことができます(p59)
・堤氏は、戦後、臣籍降下に伴い経済的に困窮していた旧皇族をターゲットに、長期分割払いでの土地売却を持ちかけたのです。インフレで土地の値段は跳ね上がるものの、支払いは分割払いなので、全額を支払い終わる頃には、実質的な返済額はゼロ円(p78)
・政府による管理が絶対条件でなことを考えると、ビットコインが通貨として普及しても何ら不思議はない・・ビットコインが金本位制に近い存在なのだとすると、ビットコインは今後、金と同じような値動きをする可能性があります(p178)
・不動産関連に投資をする場合には、デベロッパーの株を買うという方法と、REIT(不動産投資信託)を活用して、ダイレクトに物件に対して資金を投じるという二つの方法があります(p241)
朝日新聞出版 (2015-01-20)
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 100年単位で株価はこう動く
第2章 インフレ時代を前に知っておくべきこと
第3章 戦争と株価の不都合な真実
第4章 バブルは利用するもの
第5章 イノベーションで儲ける鉄則
第6章 金と石油、そして通貨をめぐる攻防
第7章 長期投資は安全に儲かるのか
第8章 未来を見据えた投資戦略
著者経歴
加谷 珪一(かや・けいいち)・・・経済評論家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務などを担当したのち独立。本業の傍ら、20年以上にわたってコツコツと株式投資を続け、現在の資産規模は数億円になっている。
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