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「アホは神の望み」村上和雄

2012/06/16公開 更新
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アホは神の望み (サンマーク文庫 む 1-7)


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

35000頭の牛の脳から0.0005グラムのレニン(血圧に関係する酵素)を手作業で精製した、"アホ"な著者による"アホ"の勧めです。普通の研究者であれば、35000頭の牛の脳を手むきする作業は考えないでしょう。


研究者の間では「レニンには手を出すな」といわれていたのに、著者は「何も知らない素人だからこそ挑戦し成功した」のです。「何も知らない素人がたまたま運よく成功した」とも言えるのでしょう。


ただ、世の中を見渡すと、驚異的な成果を出している人は、変な人が多いのです。異常な人が、異常な結果を残すのです。スティーブ・ジョブズは、「Stay hungry, stay foolish」と言いました。枠にはまった優等生、みんなからほめられるようなお利口さんになんかなるな。常識なんかはみ出してしまう器の大きなバカになれと言っているのです。


世の中には悲観的な人と、楽天的な人がいます。楽天的な人は、悲観的な人から軽く見られるという欠点もある代わりに、性格の軽さがフットワークの軽さとなり、出会いや挑戦によって、思わぬチャンスを広げてくれるというメリットがあります。変な人は、はじめ普通の人から嘲笑され、そして執拗に攻撃され、最後に成果を出すと、手のひらを返したように賞賛されるのです。


・すぐれた成果をあげたり、大きな発見をする人は総じて、どこかに鈍いところを持っているものです。・・・たとえばエジソンやアインシュタインなど・・・落ちこぼれの劣等生であった(p16)


仕事は、バカになって一生懸命やるほど、楽しくなってくるようです。アホは「やれない理由」を考えることができません。アホになりましょう。打ち込みましょう。村上さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・まじめや地道の積み重ねが『人をつくる』んですな。・・・一段一段上がっていくことの集積が、いつのまにかその人の技量や人格を・・・手厚くぶ厚いものにする(p38)


・アインシュタインは学校時代は落ちこぼれでした。相対性理論を発表した彼の論文も実は欠陥だらけで大部分は理解不能、しかも間違いが多いので有名です。・・・しかし、その中のごく一部にE=mc2という、原子爆弾開発のもととなった有名な方程式が記されている(p58)


アホは神の望み (サンマーク文庫 む 1-7)
村上 和雄
サンマーク出版
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【私の評価】★★★☆☆(73点)


目次

プロローグ アホが世界を変える
第1章 鈍いけれど深い生き方
第2章 陽気であきらめない心
第3章 愚か者こそ幸せ者
第4章 くさらない、おごらない、屈しない
第5章 アホは神の望み



著者経歴

村上和雄(むらかみ かずお)・・・ 1936年生まれ。筑波大学名誉教授。63年、京都大学大学院農学研究科農芸化学専攻、博士課程修了。同年、米国オレゴン医科大学研究員。76年、米国バンダビルト大学医学部助教授。78年、筑波大学応用生物化学系教授となり、遺伝子の研究に取り組む。83年、高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子の解読に成功、世界的な業績として注目を集める。96年、日本学士院賞受賞。


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