「「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか」畑村 洋太郎
2012/05/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
■危機管理の仕事をしていることもあって、
この本を手にしました。
危機管理とは「最悪を想定する」こと。
最悪を想定したうえで、
現実的な対策を打つことが
必要になります。
・長いエスカレーターには少なくとも
一、二ヵ所の踊り場を設けるべきではないだろうか。
階段なら十五~二十段ごとに
踊り場を作るのは常識(p177)
■しかし、実際には、
設備の弱点が見える人は少ない。
弱点がわかっても、
現実的な手を打てる人は少ない。
そして、現実的な手を打った
根拠を文書で残して、
なぜこうした方法をとっているのかを
伝承できる人は少ないのです。
・うまくいく方法だけを知り、
どこに失敗があるかを知らない人たちが、
原価低減や時間短縮を考えてむやみに工程を
変えたときに事故は起こる(p194)
■さらに、
危機管理を難しくしているのは、
危機管理に頑張ったとしても、
その成果が証明しにくいということでしょう。
本当に危機管理が成功すれば、
事故は未然に防止され、
ただ平穏な日々が続くだけだからです。
それでも、危機管理はしなくてはならないし、
非常に大切なことです。
学んでいきましょう。
畑村さん、良い本を
ありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・碑石を見て肝をぶつした。
海岸よりはるかに高い所にある碑には、
「ここまで津波が来て皆死んだ。ここより下に家を建てるな」
と書かれていた(p140)
・同じような失敗は二十~三十年周期で
繰り返されるという大法則がある。
巨大橋の崩落は三十年ごとに繰り返されてきたし、
原子力の臨界事故は二十年ごとに繰り返されている(p84)
・地震・津波・噴火・洪水など個々別々の災害を記述するのではなく、
歴史的な災害の伝承に着目し、ある場所に起こる災害が
どのようなもので、どう対処すればよいかという知識を共有し、
方策を立案することが必要である(p153)
・JR西日本福知山脱線事故・・・
なぜ、二重衝突という最悪の事態を迎えずに済んだのか・・・
事故現場手前にある踏切の非常ボタンが押されたため・・・
あくまで「幸運な偶然なのだ」(p16)
・機構や構造が最終決定され、エネルギーや情報を伝えるための
ケーブル・ワイヤ・パイプなど(私は「ブラブラ物」
と呼んでいる)は後から配置空間を与えられる。
このような設計手法やブラブラ物の軽視が失敗を誘発(p98)
小学館
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