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「お金に学ぶ 東大で教えた社会人学」草間 俊介、畑村 洋太郎

2007/07/02公開 更新
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お金に学ぶ 東大で教えた社会人学


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

大学で教える授業は役立たないものばかりと思っていましたが、東京大学工学部で「社会人学」という形で( お金 )について教えているとは驚きでした。その内容も、商社マンが作成した実用的な内容であり、できれば義務教育で教えたい的確な内容だと感じました。


まずは、お金のコントロールです。日本人にも( お金 )に対する知識、考え方の脆弱な人が大勢います。物を買えば、お金が出て行く。カードで買えば、月末には請求がくる。こうした当たり前のことさえ理解できない人がいるのです。まずは、家計簿を入力し、現在の家計の現状を把握して、お金が増える収支バランス、お金が減らない投資を考えたいものです。


よく投資を推奨する本がありますが、富裕層は投資でお金を増やそうとしているわけではありません。例えば、プライベート・バンキングの資産運用は減らさないことに力点が置かれており、運用利回りはインフレ率を計算して三~五%を目標にしていると言われているのです。


・「ご利用は計画的に」「借りすぎに注意しましょう」などとお為ごかしを言う。「計画的に利用できる人間がサラリーローンなんか使うか!」と怒鳴ってやりたい。(p44)


また、日本人の貯蓄が減ってきているといわれますが、三年間分の生活費緊急生活資金として預貯金の形で確保できれば安心できるようです。したがって、生命保険は少なくとも家族が三年間は安心して生活できるだけの資金が残るように設計するという。ただ、独身で自分が死んでもそれほど困る人がいないのに、大きな生命保険に入るのは無駄なことだとバッサリ断言しています。


・保護されれば弱くなる・・・会社に保護されたサラリーマンはとても弱い存在であり、自立のできない人が多い。預貯金はまず緊急生活資金(三年分)を貯めることから始めたい。(p179)


日本の財政破綻は避けられないとしています。日本の財政が破綻したら金利上昇によって企業倒産やリストラが急増し、為替で円の価値が急落して輸入品が高くなり海外から輸入しているものは食べることが難しくなります。いずれ増税、円安、インフレ、食糧不足となる可能性はあるのですから、汲々と心配するよりも清々と準備をしていきたいものです


小中学校で教えていただきたい( お金 )の基礎講座でした。さすが東京大学というところですが、( お金 )に自信のない方は、ぜひ一読していただきたいと思います。★4つとしました。


この本で私が共感した名言

・日本は国債の発行残高が七百六十兆円もあるので、金利を低めに誘導しなければ、利払いだけで国家財政が破綻してしまう。(p150)


・生き方と欲しいものを書き出し、イメージする。この作業を何度か繰り返せば、自分の生き方や価値観、欲しいものがハッキリと見えてくる(p34)


▼引用は、この本からです。
お金に学ぶ 東大で教えた社会人学
草間 俊介 畑村 洋太郎
文藝春秋
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おすすめ度の平均: 3.5
5 お金より重要なこと
1 やばすぎる。
4 人生のマネジメント方法
5 年をとった人も読んでよし
4 親父の箴言として...


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 お金と人生
第2章 稼ぐ
第3章 使う
第4章 借りる
第5章 貯める、備える、もらう
第6章 増やす、投資する
第7章 お金と日本経済



著者経歴

畑村洋太郎(はたむら ようたろう)・・・1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。'02年にNPO法人「失敗学会」を、'07年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる


草間 俊介(くさま しゅんすけ)・・・1948年。大学卒業後、阪和興業株式会社勤務を経て、1991年独立。エス・アイ・イー有限会社を設立し、取締役社長。2001年より税理士事務所を開業。


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