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「冒険の書 AI時代のアンラーニング」孫 泰蔵

2024/04/17公開 更新
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「冒険の書 AI時代のアンラーニング」孫 泰蔵


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

つまらない授業で勉強が嫌いになる

「学びは本来すごく楽しいことのはずなのに、どうして学校の勉強はつまらないのだろう?」という問いに答える一冊です。まず学校は、監視・賞罰・試験という仕組みによって子どもたちに規律や秩序を訓練し、先生にとって素直な生徒を作る仕組みとなっています。


必然的に授業はおもしろくないものです。生徒は、興味もなく、好きでもないことを無理やりやらさられるのです。結果、勉強は身にならないだけでなく、多くの人は勉強を嫌いになり、大人になっても勉強しない人はが多いのは、こうした構造に原因があるのでしょう。さらに、つまらない勉強を強制させられるので、学校はストレスの多い場所となり、いじめや不登校を生み出しているのです。


興味のないこと、好きでもないことを無理やりやらされたって身にならない(p32)

興味がわいたら勉強すればいい

著者は、無理やり知識を詰めこんで、わざわざ学びをつまらなくするくらいなら、むしろ、本当に興味がわくまではあえてまったく勉強させないほうがいいのではないかと提言しています。


過去の先哲も同じことを主張しています。


例えば、イギリスの哲学者ジョン・ロックは、子どもたちに学習させる前に身につけさせるべきことは興味や好奇心を刺激することで、学習へと向かう習慣を身につけさせることが大事と言っているのです。


イギリスの実業家ロバート・オーウェンも、子どもたちを書物でいじめるな、子どもたちに物事の性質やつかい方を教え、子どもたちに好奇心が生まれるような教育を推奨しているのです。


現代社会は、学校に行かなくても学ぶことのできる状況が整いつつあります。著者は「不登校児童」に、自分の意思で学校を去ったその勇気と行動をほめてあげたいとまで言っているのです。


ジャン=ジャック・ルソー・・今世間で「教育」といわれるものは、いつも他人のことを考えているように見せかけながら、実は自分のことしか考えないような人間をつくっている(p129)

自分で考え自分の人生を切りひらく

著者の理想とする学校は、「自分の人生を自ら切りひらく人間を育てる」場所です。だから著者は講演会では、「親の言うことは絶対に聞くな!」と子どもたちに言っているという。著者が本当に伝えたいことは、「自分の人生は誰がなんと言おうと自分で決めるべきだ」ということです。


もし、自分の頭で考え抜いて、自分で決めていれば、どんな困難があろうとも誰かのせいにすることなく、自分で乗り越えていくことができると著者は信じているのです。著者はこの本で、自分で考えて行動することを伝えたいのです。


著者の提案は、本質的な「問い」を自分に立てることです。答えはすぐに見つからないかもしれませんが、その「問い」が知的好奇心を動かすのです。刺激的な一冊でした。孫さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・私たちの心のどこかに「自分がこの世に生きたあかしを遺したい」という気持ちがあるのではないかと思います(p334)


・「やりたいことは特にない」と言う人たちは「やりたいこと」の定義を「お金になるようなことの中で、自分のしたいこと」と限定してとらえている(p282)


・結果論で失敗をこきおろす社会では、人々はリスクをとって大胆な決断や行動をすることをためらうようになる・・・思いきってトライしたこと自体に意味がある(p178)


▼引用は、この本からです
「冒険の書 AI時代のアンラーニング」孫 泰蔵
孫 泰蔵、日経BP


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

父からの手紙
第1章 解き放とう 学校ってなんだ?
第2章 秘密を解き明かそう なんで学校に行くんだっけ?
第3章 考えを口に出そう なぜ大人は勉強しろっていうの?
第4章 探究しよう 好きなことだけしてなぜいけないの?
第5章 学びほぐそう じゃあ、これからどうすればいいの?
おわりに 新しい冒険へ
旅の仲間たちへの謝辞
世界に散らばる冒険の書たち
本書の問い



著者経歴

孫 泰蔵(そん たいぞう)・・・連続起業家。1996年、大学在学中に起業。インターネット関連企業の立ち上げに従事。2009年にMOVIDA JAPANを創業。2014年にはMistletoeをスタートさせ、スタートアップを支援。2016年、子どもに創造的な学びの環境を提供するグローバル・コミュニティであるVIVITAを創業。


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