「信長の棺」加藤 廣
2010/04/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
織田信長の下で奉行を務めた太田牛一を主人公に、「本能寺の変」の織田信長の死の秘密を解き明かす歴史ミステリー小説です。著者の推理の成否はともかくとして、当時の状況が浮かび上がり、純粋に歴史小説として楽しめました。
当時の武士の権力争い、朝廷との関係、忍びの存在など、こうしたことがわかってくると歴史がおもしろくなってきます。高校生の頃にこの本を読んでいれば、歴史の授業にも力を入れたかもしれません。
純粋に小説として楽しめましたので、★4つとしました。加藤さん、よい本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・まず、言葉から刃を取り去ること。失礼だが、治部殿の言葉は言葉ではなく、言刃じゃ。それも剃刀、錐の刃じゃ。城内で愚か者を相手に物を言われる時は、一度、ごくりと唾を呑み込んでから、ゆっくりとお話しなされては如何かと。(p212)
・この世は全て虚仮じゃ。・・・だからといって、虚仮を虚仮と観じ、心なく演じてはならぬ。それでは世間さまは振り返らない。虚仮なればこそ、それを実と思い、懸命に涙しながら演じた時、それが世間さまに初めて感動を与える。(p241)
・当時、日本の暦も、季節感が、どうしようもないほどずれていたのである。ところが朝廷の暦博士は全くの無能、無策だった。かえって信長の暦改革の提案を、「天皇専権の侵害」と嫌悪した。(p418)
【私の評価】★★★★☆(88点)
著者経歴
加藤 廣(かとう ひろし)・・・1930年生まれ。中小企業金融公庫京都支店長、調査部長を歴任。山一証券で経済研究所顧問、埼玉大学経済学部講師など歴任。著書多数。
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初めまして。書き込み有難う御座いました。
歴史の面白さの一つに、「証拠を元にして様々な想像をする。」というのが在ります。史実は史実として念頭に置きつつ、自分なりの仮説を構築して行く。史実が100%正しいとは必ずしも言えず、新説が史実に変わる事も過去に在りましたし。その点でこの作品、なかなか面白い仮説でした。
今後とも何卒宜しく御願い致します。