「トヨタの上司は現場で何を伝えているのか」若松 義人
2007/12/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
■トヨタの社員が過労死した・・・
という裁判のニュースを聞いて
本書を手に取りました。
過労死した人は、通常の仕事に加えて、
弁論大会、組合活動、
月1回の創意くふう提案・・・
と様々な仕事をこなしていたようです。
・豊田佐吉氏はいつも「生涯改善」と言っていた。(p188)
■改善に改善を重ねるトヨタ式では、
その業務は、人の能力の限界まで
引き上げられているはずです。
そして中には、その業務に耐えられない人が
出てくるのでしょう。
・大野耐一氏も、厳しい環境に弱音を吐きそうになる若者に、よくこうハッパをかけていた。「最後までがんばるか、途中で音を上げるかで人間の値打ちが決まってくる」(p127)
■トヨタは自ら倒産しそうになった体験から、
世界の自動車産業界で勝ち抜くことを目的に
改善を続けてここまでやってきました。
そして、生産台数世界一となった今、
その志は達成されたのです。
・「技術者は実地が基本であらねばならぬ。その手が昼間はいつも油に汚れている技術者こそ、真に日本の工業の再建をなしうる人である」豊田喜一郎氏の言葉だ。(p108)
■しかし、これからは
蓄積された歪みについても、
改善していくことになるのでしょう。
「なぜ、過労死が発生するのか。」
これを五回繰り返さなくてはなりません。
・「『なぜ』を五回繰り返せ」「言いわけをする頭で実行することを考えよ」(p3)
■トヨタのすごさを感じながら、
実際にトヨタで働いていたら、別の意味で
そのすごさを感じるのだろうなと思いながら、
★5つとしました。
この本で私が共感した名言
・機械のカタログ(説明書)に「三人で使う」とあれば、改善を重ねて二人、やがて一人で操作できるようにする。(p22)
・なにか問題があったり、なにか思いついたりしたら、まず変えてみる。よくなれば改善だし、悪くなったらなら元に戻さず、また直して改善すればいい。なにも変えないのは後退と同じだ。気づく。変える。知恵を出す。また変える。変化から進歩が生まれてくる。(p85)
・トヨタ式改善は、たとえば次のように進んでいく。
1 作業改善
2 設備改善
3 工程改善(p55)
・合理化は景気のいいときにやれ(p117)
・「ネジをしっかり締めなさい、では個人差が出る」これはベテラントヨタマンの言葉だ。・・・たとえば「カチッと音がするまで締める」と言えば、即座に、誤りなく、全員が理解できる。(p134)
・改革には時間がかかる。・・・大野耐一氏は、よくこう言っていた。「最初は人間を何人使おうとかまわない。とにかく在庫を持つことなく、品質もいいモノを少しずつつくりなさい。それからだんだんと人を減らし、多能工をやらせていけばいい」(p171)
・協力会社には、望む価格や品質などを「期待値」という形で提示し、順守を義務付けている。ただし、それができないからすぐほかの会社に切り替えるわけではない。・・・技術協力や資金援助などを徹底して行なう。それでも達成できない場合、発注をほかの会社に変えるのだ(p203)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★★(90点)
著者経歴
若松義人(わかまつ よしひと)・・・1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。1984年以降は農業機械メーカーや住宅メーカーなどでもトヨタ方式の導入と実践にあたった。1991年韓国大宇自動車顧問。1992年カルマン株式会社設立。現在同社代表取締役社長。西安交通大学客員教授
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