「どこでも誰とでも働ける―12の会社で学んだ"これから"の仕事と転職のルール」尾原和啓
2023/05/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
情報提供し続ける
マッキンゼー、NTTドコモ、リクルート、グーグル、楽天など12回も転職してきたという著者の仕事術です。著者は、信頼される「プロ」になれば、「どこでも誰とでも」働くことができると言っています。逆に言えば、「プロ」でなければ働き続けることが難しくなるということなのでしょう。
ただ、どこでも誰とでも働けるといっても最初は簡単に受け入れられるはずがありません。では、どうするかといえば、ひたすら相手のためになることをギブし続けることです。著者はなんと、毎日ュースをチェックして、おもしろい記事に相手に合わせて解説をつけて、最低でも20人の人にメールしているという。つまり、カスタマイズされたメルマガを毎日発行しているわけです。
そうした情報提供のために、本屋に行ったら目についた本は全部買うと決めているし、「検索ワード」を常時5つくらい持っていて、常に問題意識をもって情報収集しているという。また、時にはグーグルスカラーで世界の大学の論文にも目を通しているというのです。電子書籍なら、気になるページは、スクリーンショットを撮ってエバーノートに取り込んで全文検索をかけているという。
・期待をいい意味で裏切って、どこかでワッと驚かさないと、リピートしていただけません・・相手の期待値を必要以上に上げ過ぎない(p66)
職場が変われば自分の価値も変わる
著者は、自分の幅を広げるために仕事を選んできたということがわかります。学生時代には、マクドナルドのマニュアルを見たいのでマクドナルドでアルバイトをしていたという。グーグルに入ったのも、仕事で使う英語をものにするためだったというのです。
マッキンゼーでは3倍仕事をしているから3倍成長するということがわかったし、自分で全部やるよりも先輩の力を借りたほうが時間も短縮されるし、コストも安くなるとわかったという。
リクルートでは「で、君はどうしたいの?」「君はその仕事の中で、何を自分事としてやるの?」と聞かれ、圧倒的な当事者意識が求められることがわかったという。リクルートとは、個人事業主の集まりのような組織だったのです。
そして、ネット企業では、やり直しが簡単にできるというデジタル技術の特徴を利用して、プロトタイプをつくってテストを繰り返す戦い方のほうが勝ちやすいとわかったという。
・副業やボランティアは、自分の幅を広げるポートフォリオという位置づけです(p45)
人生はゲームなのかもしれない
著者は、自分の給料の10倍以上の利益を返して、はじめてスタート地点と言っています。自分を指名してもらうということは、それだけハードルが高いということです。私にはそうした高いハードルに挑戦することで、著者が自分を高めることを楽しんでいるように見えました。
だから、転職先で嫌いな上司や足を引っ張る人と出会っても、著者は逆に燃えるというのです。だって、ゲームのラスボスは強いほうがおもしろいじゃないですか、と著者はいうのです。人生をゲームにすると最強だな、と感じました。尾原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・リクルート・・「OBゾーン」・・「出所不明のあやしい情報はアップしない」「一次情報への取材なしに記事化しない」「下ネタはやらない」(p50)
・会議術・・事務局のメンバーだけを集めて、「事前会議」と「振り返り会議」という2つのミーティングも併用(p95)
・本番の会議の最後に、参加したメンバー全員に感想を述べてもらうチェックアウトの時間を設けていました(p95)
・転職するかどうかにかかわらず、ずっと転職サイトに登録して、外から見た自分の評価を更新し続けています(p117)
【私の評価】★★★★★(94点)
目次
はじめに:いま起きている3つの大きな変化
第1章 どこでも誰とでも働ける仕事術
第2章 人生100年時代の転職哲学
第3章 AI時代に通用する働き方のヒント
著者経歴
尾原和啓(おばら かずひろ)・・・IT 批評家。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのi モード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、グーグル、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任。
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