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「比叡山大阿闍梨 心を掃除する」光永圓道

2023/05/22公開 更新
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「比叡山大阿闍梨 心を掃除する」光永圓道


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

千日回峰行を満行

著者は比叡山の千日回峰行を満行し、50人目の大阿闍梨(だいあじゃり)となりました。千日回峰行とは、7年間1000日(実際は975日)で、比叡山から京都市街まで48kmを歩きながら、250以上の霊場を巡拝するのです。1時間に6km、速足に近いスピードで8時間も歩くのです。


それも通常のお勤めが済んだ後から、回峰行が始まるので夜8時に床に就き、午前0時過ぎに起床。何と睡眠時間4時間です。そして朝8時に寺に戻り、普通の日中のお勤めを行うのです。さらに700日を終えた後には、9日間、何も食べず、何も飲まず、眠らず、横にならずに一心に不動明王を念ずる「堂入り」という修業があります。どうすれば、横にならずに9日間過ごすことができるのか理解できません。


・好相行(こうそうぎょう)・・・仏さまに対して順番に焼香し、花を献じ、その仏さまの御名前を唱えた後、立ち上がり、両膝を折って伏せ、両肘と額も地面につけて合掌する・・このスクワットのような礼拝を1日3000回繰り返す(p171)


心を掃除するとは

この本のタイトルの「心を掃除する」という意味は、掃除を通じて何を学ぶのか、ということでしょう。


まず、仏教の言葉に「一に掃除、二に看経(かんきん)、三に学問」というものがあり、掃除が基本であることがわかります。お寺に入ったら、毎日4時半過ぎに起床して、まずやるのはお寺の掃除なのです。著者が掃除から学んだのは、「心」ではなく「形」から入ることです。やり方がわからなければ、先輩を真似ればいい。真似ることで、自然とやり方はわかるのです。


そして、やる気が出なければ、とにかく行動してみることが大事です。著者は、やらなければならないことができない人へ、「何も考えなくていいのです」とアドバイスしています。とにかく、行動してみる。心が変わるから行動が変わるのではなく、行動が変わるから心が変わるのです。


・毎日かならず「30分間」だけは掃除をすると決めましょう・・習慣化するまでの道(p128)


「楽志」とは

著者は師から「楽志」という言葉を教わったという。志を楽しむ。「楽志」とは、苦労や困難は、自分の才能を引き出してくれる「チャンス」という意味です。何事も最初はうまくいかないものです。それでも地道に苦労を重ねて工夫をこらせば、どうにか結果がついてくるということです。


著者は、「悟り」とは、「苦行」の中に、苦しみ以外の感情を生み出すことと定義しています。たしかに回峰行は苦しいのですが、自分の志のためであれば「苦行」も楽に感じることができるのです。なるほど「悟り」とは、楽しいときは慎重になり、苦しいときにはそれを成功への通過点と考えることができる知恵なのだと理解しました。さすがです。光永さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・完璧な人間などいないように、完璧なものも存在しません(p13)


・本来、SDGs(持続可能な開発目標)とは、まず「自分がやる」という主体的な行動を指すのではないでしょうか・・ときには押しつけてしまう(p116)


・目標は「日々を幸せに暮らすこと」(p120)


・家族関係・・「一緒にやる責任」。次に、「お願いする責任」。最後に、「失敗を経験させる責任」(p146)


・天台宗には、「山家学生式」という巻物があります・・一隅を照らす。これすなわち国宝なり(p200)


▼引用は、この本からです
「比叡山大阿闍梨 心を掃除する」光永圓道
光永圓道 、小学館


【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 生きることと、修行すること
第2章 心よりも、まずは形から身につけなさい
第3章 ものは「ふさわしい場所」に置かれれば、それだけで美しい
第4章 なぜ掃除をするのか。明確な目的を持ちなさい
第5章 あなたはひとりではない
第6章 掃除を通して、自分と向き合う
第7章 続けるためには喜びを
第8章 自分のため、を超えて



著者経歴

光永圓道(みつなが えんどう)・・・1975年、東京都に生まれる。1990年、比叡山にて得度受戒。1997年、花園大学仏教学科卒業。2000年、延暦寺一山・大乗院住職。2008年明王堂輪番拝命。2009年、千日回峰行満行。北嶺大行満大阿闍梨。2015年3月1日、十二年篭山行満行。現在、大乗院住職、明王堂輪番


千日回峰行関連書籍

「一日一生」酒井雄哉
「人生生涯小僧のこころ―大峯千日回峰行者が超人的修行の末につかんだ世界」塩沼 亮潤
「比叡山大阿闍梨 心を掃除する」光永圓道


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