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「日本人はなぜ戦争をしたか」猪瀬 直樹

2007/10/17公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 昭和16年12月8日のハワイ真珠湾攻撃により、太平洋戦争がはじまりました。当時の内閣、議会、官僚、マスコミ、軍部は、ほとんどすべて開戦派であり、日本が戦争に突き進んでいく空気のようなものをこの本は描写してくれます。


・「和平」という結論が出れば、若手将校によるクーデーターか、右翼による要人暗殺が起きかねない形勢にあった。(p84)


 開戦前に軍官民の優秀な人員36名を集めた「総力戦研究所」が日米戦争をシミュレーションしています。その結果は、日本には戦い続けるための資源がなく、米国、中国、英国、ソ連に包囲された日本は必ず負けるというものでした。


・総力戦研究所研究生が模擬内閣を組織し、日米戦日本必敗の結論に辿り着いたのは昭和十六年八月のことであった。・・・日本が南方に石油を獲りにいったらどうなるか、という想定でシミュレーションが進められた(p130)


 そのような現実を知る人はいるものの、日本はこの雰囲気の中で、開戦していくこととなります。六十年も前のことですが、一度世論が生まれると一斉に一方向に走ってしまう、今も変わらない日本の特性を感じてしまいました。当時の雰囲気を知るために良い本だと思いますので、★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・彼(東條)は自分が頂点にいるとは思わない。天皇がいた。彼はその忠実な臣下であった。彼は軍人としてのファンクション(職分)のなかで生きていた。理念や思想があれば彼に制度の壁を破ることを期待するのは可能だが、それは望むべくもなかった。(p182)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

第1章 三月の旅
第2章 イカロスたちの夏
第3章 暮色の空



著者経歴

 猪瀬 直樹(いのせ なおき)・・・作家。1946年生まれ。「ミカドの肖像」「日本国の研究」など、日本という国家を考える書籍を多数出版。行革断行評議会委員として特殊法人の民営化に取り組む。2012年(平成24年)東京都知事選挙で当選。


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