「道路の決着」猪瀬 直樹
2009/03/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
■最近、高速道路のパーキングが
変化していることに気づきます。
まず、トイレがきれいになった。
そして、まずいラーメンがなくなった。
逆に、パーキング毎に人気メニューを
PRするようになってきています。
■私は、これは道路公団の民営化がもたらした
成果だと思っています。
そして、なんと現在、旧道路公団三社は
数百億円の税金を払っているそうです。
道路公団のときには、毎年3000億円の
税金を使っていたというのに。
・旧公団三社(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社)は、年間で二、三百億円ほど納税している。かつては三千億円の税金が投入されていた(p14)
■道路公団の民営化は、小泉首相官邸、
そして民営化推進委員の猪瀬直樹が
協力して推進し、実現しました。
この本には、その経過がリアルに
記載されています。
反対派を批判するところは、表現が醜いですが、
そこを除けば非常に面白く読めると思います。
・全国料金プール制は、いわばドンブリ勘定のシステムである。日本道路公団を分割することで、大きなドンブリを小さな茶碗に置き換えることで、地域に当事者意識と責任を持たせる(p161)
■一点、知っておかなくてはならないのは、
猪瀬直樹が脅迫を受けていたということです。
猪瀬と特殊法人に対する情報公開で
協力し合った衆議院議員の石井紘基は
暴漢に刺殺されています。
それでも、猪瀬直樹は自分の信じる
道路公団民営化を主張し、
根回し続けたのです。
・「近藤さんは、命懸けでやる、と新聞やテレビのマイクの前で言いましたね。命懸けでやる、と命を懸けるは違う。僕のところには毎日のように殺すぞとか無言電話の脅迫があります。・・・だから命を懸けるということでやっていただきたい」(猪瀬)(p102)
■こうした事実だけで、
3000億円の1%は年金として猪瀬さんに
支払ってもいいような気になってきました。
逆に考えれば、猪瀬さんのような人がいなければ、
官僚国家は変わらないということであり、
恐ろしい気持ちにもなりました。
いずれ日本の財政は破綻すると思いますが、
こうした背景があることを知り、
さらに実際に戦った人のいることを
知ることは大事だと思いました。
そして、自分のできる範囲の中から、
猪瀬さんと同じ方向で仕事をする人が
一人でも増えれば、
破綻までの時間を稼げるはずだからです。
本の評価としては、
もちろん★5つとしました。
この本で私が共感した名言
・最終確認は作業部隊の例のJR課長とメールでやりとりすることになっている。届いたメールを開いて驚いた。意見書の冒頭の部分に中間整理のとりまとめで書いておいた「改革の意義と目的」の項について、一部が勝手に改竄されているではないか。(p67)
・超過債務キャンペーンの背後には、税金投入で債務を減らしてもらい、身軽になってピカピカの会社に生まれ変わりたいとたくらむグループがいた。その中心人物が・・・道路公団事務系の片桐幸雄・前民営化委員会事務局次長だった。(p78)
・加藤寛千葉商科大学長に「猪瀬さん、なにをおいても分割だけは絶対に勝ち取らなくてはいけませんよ」と忠告されていた。「国鉄は分割民営化できたが、NTTの場合は壁が厚くてスタートの時での分割ができなかった。いまも悔やんでいる」と(p127)
・東日本道路サービスではたらく五十代の収受員は給与明細を送ってきた。月給は手取り二十万円。天下りのポスト「現場代理人A」は年収九百万円だと書いた。彼らは仕事もせず毎日だらだらしている(p195)
・業者は生き残りをかけて受注のために必死になる。その弱みにつけ込んで公団はOBを送り込むのである。(p250)
・国鉄改革では、税金を二十四兆円も投入した。それは断じてやらないというのが道路公団民営化の一貫した考え方で、小泉さんはこれを実行した。(p313)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★★(93点)
著者経歴
猪瀬 直樹(いのせ なおき)・・・作家。1946年生まれ。「ミカドの肖像」「日本国の研究」など、日本という国家を考える書籍を多数出版。行革断行評議会委員として特殊法人の民営化に取り組む。2012年(平成24年)東京都知事選挙で当選。
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