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「日本人は死んだ―「仕方がない」の哲学では蘇生できない」マーヴィン・トケイヤー

2004/09/15公開 更新
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日本人は死んだ―「仕方がない」の哲学では蘇生できない (1975年)


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

●私も戦後教育を受けた一人ですが、
 今考えると何かが足りなかったという
 印象があります。


 例えば、道徳というクラスがありましたが、
 その内容で印象的なものは
 何もありませんでした。


 今の日本の学校は単なる知識、
 近所の友達との人間関係を提供して
 いるだけなのです。


・「人生の知恵」を教えるのが教育(p130)


●小学校から大学までの授業において、
 「上司から法律に抵触しそうな指示を
 受けたときどうするか?」
 「お客から無理な値引きを要求されたらどう答えるか?」
 「無能でイヤな上司の部下になったらどうするか」
 ということに対する答え、ヒントは何もなかったのです。


 こうしたことに対する対応は自己の確立、
 自分のポリシーの確立が不可欠なのですが、
 そこにフォーカスした授業は全くないのです。


 そもそも先生自体が、どう生きていくのか
 考えたうえで先生という職業を選んでいるのか
 といえば怪しいものなのでしょう。


・第二次世界大戦後にはこれら全ての日本的美徳が軍国主義とともに抹殺されてしまったのである。(p12)


●いかに人生を生きていくのか、その答えは
 社会人になってから学ぶことになるのですが、
 本を読む人が減ってきた今、
 どうやってその知恵を学ぶのでしょうか。


 もちろん家庭の中で親や祖父母に教えて
 もらうこともあるでしょう。


 私は幸運にも書籍の中にその答えがあることを知り、
 読み始めましたが、多くの人は社会の荒波のなかで、
 自らその道を探さなければならないのです。


・にわとりに歴史はないが、人間だけには歴史が存在している。しかもその歴史は、本の中にこそ盛り込まれているのである。(p143)


●最後に、お金持ちになった日本人が
 学ぶべきことは、お金との付き合い方
 ではないでしょうか。


 資本主義とはすべてをお金というモノサシで
 図っていくものであり、単なる道具であるはずの
 お金に人生を操られている人も多いのです。


 お金を嫌う必要はありませんが、
 いかに最低限のお金を手にして
 お金をコントロールするのか
 知らなくてはならないのです。


・絶対に必要なのは、われわれは金をコントロールするべきであり、金に支配されてしまってはいけないということである。(p116)


●その答えも本のなかにあります。
 お金儲けの知恵、お金を使う知恵、
 そしてお金から自由になる知恵。


 先人の知恵を学び、社会を生きていく知恵を
 ぜひ学校でも教えてあげるような日本の
 学校になってほしいと思います。


この本で私が共感した名言

・人間には、測定することのできないほどの潜在的な能力が隠されている。それを全て使用するかどうかは、全てあなたの手の中にゆだねられているわけである。


金をたくさんもつことは、責任をもつことと同じ意味である。・・・金を建設的に賢明に使うことこそが、金を儲けた人たちの義務なのである。(p117)



【私の評価】★★★☆☆(75点)


著者経歴

 マーヴィン・トケイヤー・・・1936年ニューヨーク生まれ。イェシヴァ大学を卒業後、1968年に来日、日本ユダヤ教団のラビ(教師)となる。滞日十年。現在ニューヨーク州グレートネックに住む。ユダヤ思想、教育論、日本人論等に関する著書多数


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