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「ザ・ゴール2―思考プロセス」エリヤフ・ゴールドラット

2004/03/10公開 更新
本のソムリエ
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ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 この本でいうところの「思考プロセス」とは、二者選択を迫られて、迷ったときに紙に「対立解消図(雲:クラウド)」を書いて考えようというものです。例えば、娘が深夜のパーティに行きたいとしましょう。親としては深夜のパーティに娘を行かせるのは心配です。では、「対立解消図」を書いて見ましょう。


 親としては娘に10時までには帰ってきてほしい。なぜなら娘の安全のためです。一方、娘は12時に帰宅したい。なぜなら友達と仲良くしたいからです。すると、親と娘は共通の「良い家族生活を作り上げる」という目標があることがわかります。では、この共通の目標のために、工夫はできないのか考えるのです。


 この本では、「親が娘を車で迎えに行く」という解決策を書いていますが、この「対立解消図」のよいところは、そもそも何のために悩んでいるのかについて関係者の問題意識を共有できるということでしょう。両者が意見で対立していたとしても、最終的な目的は同じということがよくあるのです。


・どう考えてその結果どういう結論に達したのかを,ロジカルに説明するんだ。・・・紙に書いて一つひとつステップ・バイ・ステップで読んで聞かせるんだ。・・・問題があっても,"デイブ"対"ハービー"の対決じゃない。"デイブ&ハービー"対"問題"の対決だ。ハービーとの友情は安泰のはずだ(p254)


 次に学ぶのは、問題があったときに、その問題構造を図式化する「現状問題構造ツリー」です。現在のUDE(Undesirable Effects:好ましくない結果)を書き出して、それぞれをつなげることで、全体の因果関係を見える化するのです。表面には多くの問題が起きていたとしても、実際には一つか二つの根本的が原因が存在する場合があるのです。


 トヨタで言えば「ナゼ、ナゼ、ナゼ」と5回繰り返して問題の真因を見つけるのと同じことなのです。真因がわかれば、それを解決すれば、すべての問題が解決することさえあるのです。「現状問題構造ツリー」をチームで検討することで、チーム内の問題意識を共有できる効果もあるのです。


・その状況におけるすべての問題を関連づける因果関係を図に表します。この図を<現状問題構造ツリー>と呼びます。(p144)


 またしても,ゴールドラット氏にしてやられました。すばらしい。そこら辺のクリティカル・シンキング,戦略発想の本を10冊買うくらいなら,この本一冊で十分です。問題解決の考え方をメインとした本ですが,社員の陥りやすいコスト会計の罠,市場のセグメント化,ソリューション営業などの勉強にもなります。一冊で,五度おいしい本です!


この本で私が共感した名言

・一軒の販売店の販売予想と100軒分の販売店の販売予想を合計した数字のどちらのほうが正確かな・・・在庫の多くの25ある各地の倉庫から工場に移すことで、予想精度は5倍増すことになる(p59)


・うまくいかなかったら、「現状問題構造ツリー」にもうい一度戻るんだ(p233)


・新製品の宣伝を行っている時に、販売店ではこうした古い商品を買ってくれと消費者を説き伏せようとしているんです・・・販売店への商品の補充は、一日単位で行う(p271)


ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス
エリヤフ ゴールドラット
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 876


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

1 緊急動議
2 昔の仲間
3 ロンドンへ
4 葛藤
5 ザ・ソリューション
6 究極の企業戦略



著者経歴

 エリヤフ・ゴールドラット・・・イスラエルの物理学者。1948年生まれ。トヨタ生産方式の生産管理の考え方をTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)と名づけ、研究所を設立。TOCを普及させるために、ゴールドラット・グループを創設。その後、TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、アメリカの生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた


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